2008 Fiscal Year Annual Research Report
北シリアの紀元前2000年紀における農村の生活文化と祭祀
Project/Area Number |
19320129
|
Research Institution | Ancient Orient Museum |
Principal Investigator |
石田 恵子 Ancient Orient Museum, 研究部, 研究部長 (30132757)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩[サキ] 卓也 (財)古代オリエント博物館, 館長 (30015383)
脇田 重雄 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (00175069)
津村 眞輝子 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (60238128)
|
Keywords | 考古学 / 北シリア / 祭祀 / 生活文化 / 土器編年 |
Research Abstract |
テル・ルメイラの遺物は層位毎に分類研究された。土器を中心としてまとめた編年表の骨子はほぼ完成し、中期青銅器時代から鉄器時代にいたる土器の変遷が判明し、周辺遺跡との比較検討が可能になった。青銅器時代になると小型の鉢が多く、鉄器時代に続かないことは、生活パターンの中でも食べ物、料理、食器の種類とも関わってくることだろう。調理器具と保存用大甕の形状に時代差が反映されるのは興味深い。特に調理鍋は熱効率がよく耐熱性があり、熱いまま持ち運べるなど共通の機能が求められるのにもかかわらず、である。サイズの違いは大家族あるいは宴会用の食事であるか、核家族での食事であるかの違いを示唆し、これも興味深い事実である。また、大甕は丸型から細長かつ凸底に推移する。大甕の用途を麦などの貯蔵、水、出土例には甕棺もあった。青銅器時代の大甕に焼成前の底部に小孔を開けた例もあり、大甕の用途にもいくつかの選択肢が想定されよう。 また、土器以外の遺物の層位毎のデータもほぼまとまりつつある。家型模型は明らかな特殊遺物であるが、それ以外の遺物では特に日常生活に関わる遺物であるか、祭祀に関わる特殊遺物であるかは、現在に生きるわれわれの判断であるため、恣意的であるとの非難は免れえない。遺物総体から推定される日常生活に中で、どのような精神生活を営んでいたのかの復元が可能な状況にようやく到達しつつある。発掘された遺構の中での出土状況が総合的に復元されれば、住居内の使われ方、生活の仕方の最終復元という目標にはまだ遺構図面の整理が残されている。
|