2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19330020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 友信 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (10107485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 友敬 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80209064)
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Keywords | 自動車事故 / 不法行為 / 損害賠償 / 自動車保険 |
Research Abstract |
4年の研究期間の第1年次に当たる平成19年度においては,主として運行供用者責任を中核とする自動車事故による損害賠償の実務の検証と法的問題点の洗い出しに焦点を当てて研究を行った。現在わが国では損害賠償額の算定基準として,自賠責保険,任意保険,裁判の各基準が併存しているが,そのために被害者がいかなる順序で補償を請求するかにより最終的に受けられる補償額が異なりうることとなっているという問題がある。そのことの問題がさらに複雑な問題を生じさせているのが,近時普及の著しい人身傷害補償保険である。そこでは保険会社は概ね任意保険の支払基準で保険金を支払うこととしているが,支払をした場合に加害者に対して請求権代位により求償することができる額について,近時相次いで下級審裁判例が現れ,それらが異なる考え方をとっていることから実務的にも混乱が生じつつある。これは,人身傷害保険の約款で,任意保険に準じる支払基準と裁判上の支払基準を,理論的整合性を考慮しないまま混在させていることによるものである。この問題に着目し,いかなる約款の適用の仕方をすることが望ましいかを考察し,その研究成果を,論文にとりまとめ,年度内に公表した.この考察により,各種の支払基準が併存することのメリット,デメリットが整理できたので,次年度以降の研究によりさらに解決のあり方を検討したい。そのほか,本年度内には,研究計画にしたがい,自動)車事故に関する損害賠償と保険に関する国内外の法制度の状況についての諸資料の収集分析に努めた。
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Research Products
(2 results)