2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダーに関する法曹再研修プログラムの開発・実施・制度化の研究:欧米アジア比較
Project/Area Number |
19330027
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
南野 佳代 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (60329935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 敬子 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (60340444)
手嶋 昭子 京都女子大学, 現代社会学部, 非常勤講師 (80227496)
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Keywords | 法とジェンダー / 法曹継続教育 / 司法教育 |
Research Abstract |
本研究の意義は、現役法曹が実務経験以外に、その資質の維持向上を図る手立ての可能性を、とくにジェンダーに関する法的諸問題への取り組みについて、調査に基づき明らかしようとする点にある。具体的には、法曹継続教育のプログラム開発、その実施と、制度化のプロセスについて、欧米アジア諸国の実践と経験を調査した。得られた知見をもとに、社会的、歴史的、文化的背景とともに比較検討し、日本におけるプログラム開発および継続教育の制度を構想することを目的としている。 ジェンダー問題に取り組む能力開発を法曹に提供するための継続教育という観点から、調査対象国は、国際的ジェンダー指標(研究開始年度のGDI, GEM, GGI)による各国のランキングを主たる基準として用い、法制度の違いが継続教育の制度の在り方に与える相違を考慮するため、大陸法国、英米法国、そして何らかの意味で西欧近代法の経受国であるアジア諸国から選定した。さらに、研究の進展に伴い若干の見直しを行った結果、調査を行った国は、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリア、米国、韓国、フィリピン、カンボジア、日本となった。 平成21年度は、カナダ、韓国、米国、にて調査を実施した。3年間を通して調査により明らかとなったのは、各国において継続教育は制度化されており、その中でジェンダーについて研修を行うことの重要性は、少なくとも英米法圏とアジアにおいては認識され、多様な方法で実施され、あるいは計画されている。これら9カ国を調査したことにより、国際的な法曹継続教育、とくに裁判官に対する継続教育(司法教育)における世界での協力関係と、その中で共有されつつある司法教育プログラムにおいては、ジェンダー平等に取り組むために必要な情報と観点の提供が重要な要素とされている。この発見の極めて重要な含意は、日本の法曹継続教育制度の現状は、世界から取り残されたものであり、早急に制度を整え、実施することが必要であり、その際に大きな役割を果たしうるのは、各国の知見からはNGOであるということである。
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Research Products
(15 results)