2007 Fiscal Year Annual Research Report
労働市場のミクロ的構造とフィリップス曲線-国際比較を通じて理論・実証分析
Project/Area Number |
19330039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北川 章臣 Tohoku University, 大学院・経済学研究科, 教授 (60262127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 聰一 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60262838)
照山 博司 京都大学, 経済研究所, 教授 (30227532)
柴田 章久 京都大学, 経済研究所, 教授 (00216003)
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Keywords | マクロ経済学 / フィリップス曲線 |
Research Abstract |
平成19年度の研究実績は次の通り。まず、研究課題に関連した理論・実証研究の現状を調査し、併せて利用可能な統計データにどのようなものがあるかを確認した。さらに、理論面では、Shapiro-Stigliz(1985)の効率賃金モデルを世代重複型の動学一般均衡モデルに拡張して、内部労働市場で職を得る機会が新卒時に限られる社会とそうではない社会のパフォーマンスの違いを理論的に検討した。その結果、前者の方が失業率は低いものの、生涯効用の水準は雇用された労働者と失業者(求職者)のいずれをとっても後者の方が高くなることを見いだした。その理由は、後者では新卒時には内部労働市場の職が得られなかった労働者も将来雇用される可能性があることに加え、この可能性が生み出す労働者の怠業動機を抑えるために賃金水準が前者よりも高く設定されるからである。この結果は低失業率が直ちに社会的の望ましいとは言えないことを含意する。一方、実証面では、ベヴァリッジ曲線とフィリップス曲線を統一的に取り扱う手法を用いて、80年代後半以降の日本経済のNAIRU(インフレ非加速的失業率≒自然失業率)を推計した。新しい推計結果では、NAIRUは、バブル期にはほとんど3%で一定で、1993年半ばから上昇に転じ、その後継続的に上昇し、2004年初頭に4.6%水準に到達、最近ではわずかに低下が見られた。現実の失業率との関係では、バブル期は現実の失業率がNAIRUを下回り、その後1998年あたりまでほほ両者は同じ、それ以降は現実の失業率がNAIRUを上回る状況が続き、2005年あたりから実際の失業率がNAIRUを下回る結果となった。
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Research Products
(3 results)