2009 Fiscal Year Annual Research Report
労働市場のミクロ的構造とフィリップス曲線-国際比較を通じた理論・実証分析
Project/Area Number |
19330039
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北川 章臣 Tohoku University, 大学院・経済学研究科, 教授 (60262127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 聰一 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60262838)
照山 博司 京都大学, 経済研究所, 教授 (30227532)
柴田 章久 京都大学, 経済研究所, 教授 (00216003)
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Keywords | マクロ経済学 / フィリップス曲線 / 二重労働市場 / 効率賃金 / 雇用可能性 |
Research Abstract |
平成21年度の研究実績は次の通り。理論面では、前年度までに構築した二重労働市場モデルについて指摘された疑問点、即ち、1)雇用可能性を保持している既卒者はなぜそのことを企業にアピールしないのか?2)企業はそうした労働者を試用期間などの制度を設けて雇用しないのかについて追加的な考察を行った。その結果、こうした点を明示的に考慮してもなお、企業が新卒一括採用に固執する社会は常に実現可能である一方、採用の際に新卒・既卒で差別されない社会は労働需要が十分旺盛でない限り実現しないこと、および、経済厚生の面で後者が前者を凌駕するという結論は維持されることが分かった。また、ナイト的不確実性を導入したモデルを構築し、将来に関する不確実性の増大が、人的資本・健康資本投資や求職活動等を阻害することを明らかにした。一方、実証面では、パネルデータによって、新卒時に非正規雇用形態で労働市場に参入すると、その後長期間にわたって、非正規雇用で就労する確率が高くなり、また、(一部の労働者で)非正規雇用から正規雇用へ移行する確率が低くなるという結果を得た。また、マクロデータによって、雇用が不安定な非正規雇用者の就業者に占める比率の上昇が、90年代以降の失業率上昇の重要な要因であることを示唆する結果を得ている。
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Research Products
(4 results)