2007 Fiscal Year Annual Research Report
石見銀山領における人口増加開始期における人口再生産機構に関する研究
Project/Area Number |
19330077
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
廣嶋 清志 Shimane University, 法文学部, 教授 (20284010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 准士 島根大学, 法文学部, 准教授 (80294354)
相良 英輔 島根大学, 教育学部, 教授 (70124071)
山崎 亮 島根大学, 教育学部, 教授 (40191275)
伊藤 康宏 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (40201933)
鳥谷 智文 松江工業高等専門学校, 人文科学科, 准教授 (10280439)
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Keywords | 銀山 / 出生率 / たたら / 浄土真宗 / 廻船 / 人口増加 / 出稼ぎ / 結婚率 |
Research Abstract |
島根大学所蔵の石見銀山領の熊谷家文書内の宗門改帳(文久3年,4年,69村)のマイクロフィルムと電子化したファイルおよびいくつかの村,たたら山内の宗門改帳のデータを別に入手して,解読,電子ファイル化作業を行い,研究した。また,これら人口面を明らかにする資料とともに,その背景にある経済・文化の変化を明らかにする研究を行った。 その結果,第1に,浄土真宗門徒は予想に反して他宗門徒に比べ有配偶出生率はやや低く,結婚率が高い事実を確認し,出稼ぎなど経済活動の盛んな真宗門徒を中心にして有配偶出生率の統制を導いた可能性が考えられる。 第2に,この地域に盛んなたたら製鉄と石見銀山との関係は,従来ほとんど明らかにされてこなかったが,「石見銀」の運用を通じたつながりのある可能性が示唆された。 第3に,たたら製鉄操業が18世紀初頭に大量生産体制が成立したことを田部家ほかいくつかの鉄師について通年操業の確立期などによって資料的に裏付けた。また,鉄の出荷が18世紀半ばには大坂以外に北陸から越後,会津にまで廻船によって流通市場を拡大したことを明らかにした。 第4に,たたら製鉄の従業者の規模はまだ全面的には明らかになっていないが,近世末から近代初期にかけてのいくつかのたたら鉄山の経営資料の研究から,石見地域の人口増加にとって相当の影響を有する可能性が推察された。
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Research Products
(12 results)