2008 Fiscal Year Annual Research Report
ネットワーク組織の変革管理におけるコミュニケーション開発と学習の構造効果
Project/Area Number |
19330083
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
若林 直樹 Kyoto University, 経済学研究科, 教授 (80242155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尾 雅夫 愛知学院大学, 経済学部, 教授 (40094403)
山口 生史 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (50257127)
稲垣 京輔 横浜市立大学, 国際総合科学研究科, 准教授 (10327140)
山田 仁一郎 香川大学, 経済学部, 准教授 (40325311)
金光 淳 京都産業大学, 経営学部, 専任講師 (60414075)
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Keywords | 組織学習 / ネットワーク組織 / 組織コミュニケーション / ネットワーク分析 / 組織変革 |
Research Abstract |
本年度は、組織内及び組織間ネットワークの構造変動が、組織ルーティンの変化に与える影響についての検討を行った。まず、ネットワーク・コンティンジェンシーの視点が有力であり、特定の経営成果に結びつく特定の構造形態特性があると推定されており、多くの組織ネットワーク研究者が合意しつつある。そのために、組織能力を変化させるソーシャル・キャピタルとして「構造的空隙」、「凝集性」、「スモール・ワールド」という構造概念が国際社会ネットワーク学会での近年の組織ネットワーク研究動向から有効な概念であり、それらがイノベーションと組織学習に与える顕著な成果が注目されていることが理解された。第二に、組織変革論の従来の議論の再検討から、不連続な経営環境において、必要な組織的成果を持続的に出せる企業変革のプロセス・デザインのモデル構築の意義を理解し、凝集性と構造的空隙が、変革の組織学習に与える影響があることが理解された。第三に、組織における手続的公正と信頼に対してコミュニケーション・ネットワークが影響することが理解されたので、2008年11月〜2009年1月、量的調査のための日本語版の質問票を完成させて、日本側で536名のデータをとり分析を行った。この日本側データと来年度に行う海外調査との対比を進めている。第四に、大阪・扇町と神戸医療産業クラスターにおける起業の場の研究を行い、起業家が、地理的近接性に基づく関係を形成することによって、クラスターの秩序が再構成される制度的エージェンシーを導き出す特別なネットワークのプロセスを明らかにした。地域内の活動を積極的に担う固定的なメンバーが、動員ネットワークの中で埋め込まれた利害に基づいて行動した結果として、動員されたアクターもまた秩序を再構成する主体となっていることが明らかになった。今後は、組織認知でも起業家ネットワークでも、ブリッジもしくは凝集性というネットワーク構造の効果があることが研究されるべきであることが理解された。
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Research Products
(27 results)