Research Abstract |
日本的多文化マネジメントシステムの一環として,本年はダイバーシティ・マネジメントと知識創造を主たる対象として研究を行った。 ダイバーシティ・マネジメントに関しては,欧米を中心とする諸理論を体系的にまとめた。さらに,日本,ヨーロッパ,米国,およびイスラム企業におけるにダイバーシティ・マネジメントに関する実証研究を行い,組織構成員の文化的多様性に関する分析を行った。林(代表者)は,「研究開発活動とプロジェクトメンバーの文化的多様性」,桜井は「イスラム経営の文化的特質」,馬越は,「人材開発とダイバーシティ・マネジメント」を中心に行った。 これらの研究結果は,林が日本経営学会,Strategic Management Forum,異文化経営学会,および馬越がPan Pacific Conferenceなどの日本内外の学会で発表すると同時に,研究者との交流を図った。いずれの学会報告においても,参加者からは,日本企業のグローバル化にともない,異文化マネジメントやダイバーシティ・マネジメントの重要性に関する報告に対して以前よりもはるかに高い関心を得られた。 特に日本経営学会においては,IFSAM Forumや統一論題の報告者として上記テーマを発表し,さらにシンポジウムにおいてもこうした論点について討議が成されたが,かかるテーマが経営学会において取り上げられたことは画期的なことであり,従来の単一な文化による日本企業の経営が,今後は多文化による経営に移行する可能性があることを示していると思われた。今後は,予定通り,内外の研究者との共同研究を深めると同時に,実証研究をさらに緻密化してさらに日本的多文化マネジメントシステムの構築を試みたい。
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