2008 Fiscal Year Annual Research Report
滞日外国人における家族危機と子どもの社会化に及ぼすその影響の社会学的研究
Project/Area Number |
19330114
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
宮島 喬 Hosei University, 社会学研究科, 教授 (60011300)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
エウニセ イシカワ 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (60331170)
山脇 千賀子 文教大学, 国際学部, 准教授 (40302343)
坪谷 美欧子 横浜市立大学, 国際総合科学部, 准教授 (80363795)
本田 量久 立教大学, 社会学部, 助教 (90409540)
佐久間 孝正 立教大学, 社会学部, 教授 (80004117)
|
Keywords | 外国人 / 家族危機 / 親子関係 / 離婚 / DV / 就学 / トラウマ / 動機づけ |
Research Abstract |
滞日外国人の生活状況は、経済危機のため、本年度の後半でかなり変わった。特に製造業(自動車関連など)で就労する者たちには、解雇など不安定な状態に陥り、求職活動に追われたり、他地域への移動を強いられるケースが多かった。このため、外国人の家族危機の実態の聞き取り調査に重きを置いた一年となった。方法は、主に、外国人本人および支援NGOのボランティアへの聞き取りによったが、その結果、次のような知見が得られた。(1)南米系を中心に、共働き長時間労働に従事する夫婦は依然として多く、学齢期の子どもとのコミュニケーションの時間は限られていて、親子関係を案じる者が多い。(2)別居または離婚状態にあって、低所得母子世帯になっているケースに数例出会ったが、これらの世帯では、しばしば在留資格喪失と貧しさが重なっていて、子どもの教育にほとんど配慮が及んでいない。 (3)かなり滞在年数を重ねていても日本語能力が不十分で、日本の学校教育制度をほとんど理解していない家族も見られ、子どもの教育サポートができない親が少なくなく、サポートが必要である。(4)DVが発生しているケースがフィリピン人と日本人の国際結婚家庭にみられ、そのような家庭では子どもは多少なりともトラウマを経験しており、精神的安定をもたらす支援態勢が望まれる。調査例は20ケース以上に及んだが、これらの知見にもとづいて、子どもの就学状況、その動機づけや学業達成度への影響を明らかにすることが今後の課題であり、平成21年度にその実現を期したい。
|
Research Products
(5 results)