2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦争の記憶の創出と変容―地域社会における戦争死者慰霊祭祀の変遷と現状―
Project/Area Number |
19330116
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
清水 克行 Meiji University, 商学部, 准教授 (40440135)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 謙二 茨城キリスト教大学, 文学部, 教授 (90113282)
村上 興匡 大正大学, 人間学部, 准教授 (40292742)
土居 浩 ものつくり大学, 技能工芸学部, 准教授 (20337687)
|
Keywords | 戦争 / 死者 / 慰霊 / 祭祀 / 地域社会 / 記憶 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本社会の戦争死者慰霊祭祀の問題を「地域性」と「歴史性」と「民俗伝統との関わり」の観点から見直すことにある。従来の日本の慰霊祭祀は靖国神社問題を中心に論じられてきたが、批判されることが多い天皇の臣下のみを祭祀対象とすることについても、その歴史的成立過程の検証はなされてこなかった。また、現在、都道府県の記念碑や平和の礎などがある沖縄文仁の丘も、もともとは個人や一地域からの慰霊の運動がその端緒となっている。戦争死者の慰霊は、もともと地域自発で多様なものであり、現在も置かれた状況の変化により意味づけを変えつつあるものだといえる。 2009年度は本研究の最終年度であるため、これまでの研究の総括として、2009年9月12日の日本宗教学会第68回学術大会(京都大学)において、本研究のメンバーによるパネル報告を実施した。当日は村上興匡の司会のもと、清水克行が「近世農村における慰霊顕彰」、森謙二が「近世武士社会における慰霊顕彰」、粟津賢太が「沖縄における遺骨収集の展開と慰霊顕彰」と題する個別報告を行い、それら三報告に対して土居浩がコメントを発表した。3年間にわたる共同研究で日本社会の戦争死者の慰霊をめぐる多様な現状と歴史的来歴が、かなりの程度明らかになったことが、このパネル報告でアピールすることができたと思われる。また、研究分担者相互のあいだでも、パネル報告の準備過程や事後の反省会において、新たな課題や問題意識を確認することができた。今後は、そうした新たな問題まで視野に収めながら、ここで得られた研究成果をさらに発展させてゆきたい。 なお、パネル報告の概要は、日本宗教学会『宗教研究』第363号(2010年3月)に掲載されている。
|
Research Products
(9 results)