2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホームレスに対する自立支援策の展開と支援の在り方に関する地域比較研究
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19330130
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中山 徹 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 教授 (40237467)
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Keywords | 貧困 / ホームレス / 自立支援 / 社会的排除 |
Research Abstract |
本研究は、ホームレスの実態と支援策に関する地域間比較をすることにある。支援法に基づく支援策の有無により施策体系は異なっているため、その異同と共通性を探り、社会的排除に抗する施策のあり方を検討することにある。 2009年度は、本研究の最終年度で、以下の調査研究を実施した。 1,先進的事例を提供している新しい自立化支援塾・徳島、ふるさとの会・東京、和歌山ホームレス支援機構・和歌山等のホームレス事情と支援実践についての聞き取り調査を行った。2、東京都独自支援策であった「地域生活移行支援事業」実施のNPOと元利用者の生活状況と同事業に対する評価について聞き取り調査を実施した。3、尼崎市のホームレスの実態について、全国調査の一環として同市との連携もとに2003年以降継続的に調査しており、今年度も夜間・昼間調査を実施するとともに同市の生活保護運用実績分析や同市で展開している「飯場」入所者状況について別データを参照し検討した。また、宮立支援センター退所者の生活再構築・就労継続のための支援策を展開しているNPOオイコス堺の入所者の聞き取りを実施し、十分把握されていなかった日常生活・社会生活スキルの脆弱性等新たな実践課題が把握できた。4,支援法に基づく支援策を展開していない自治体においては、NPO等民間団体による支援が創意と工夫に基づく支援策を展開すると同時に公的機関をも巻き込みホームレスを含む社会的不利層の可視化と解決策に結びつける先鞭となっていることが判明した。ただ、制度的社会資源としては公的扶助だけであり、セーフティネットの再構築という課題が判明した。5,また無低宿泊所問題やこれらの背景となっている建設産業等の社会保障について検討した。6、最終年度ということで、日本との実践を含めた国際比較研究が活発化している東アジア先進国(韓国・香港・台湾)におけるここ数年の周辺層を含めた実態と「不安定居住」層の現状と対応策について現地調査を実施した。
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