2008 Fiscal Year Annual Research Report
「わざ」の継承に働く「知」の構造を解明する-新たな学習術理の創成に向けて
Project/Area Number |
19330172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 晶子 Kyoto University, 教育学研究科, 教授 (10231375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西平 直 京都大学, 教育学研究科, 教授 (90228205)
小田 伸午 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (10169310)
今井 康雄 東京大学, 教育学研究科, 教授 (50168499)
金森 修 東京大学, 教育学研究科, 教授 (90192541)
生田 久美子 東北大学, 教育学研究科, 教授 (80212744)
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Keywords | 教育学 / 運動生理学 / 認知科学 / わざ / 伝統芸能 / 両手交互協調動作 / 学習論 / パフォーマンス |
Research Abstract |
「近代スポーツ・音楽班」はドラム奏者の両手交互協調動作中のパフォーマンスに対し、スティック使用の与える影響を検討した。スティックの使用は打撃力と両手協調動作の安定性を向上させることが明らかとなり、道具の使用はヒトの運動能力あるいは表現能力の拡張に寄与していることが示唆された。また筋活動について表面筋電図測定による実験の結果、熟練ドラム奏者は手首の筋群の筋活動タイミングの変動性が小さいこと、主動筋-拮抗筋間の同時収縮の水準が低く、リラックス状態で効率的な片手打撃動作をしていることが示された。さらに世界最速ドラマーコンテスト優勝者を対象に片手最速スティッキング動作中の行動パフォーマンスと手首筋活動を調査した結果、通常レベル以下のドラム奏者は片手で7Hzの動作(1秒間に7回叩く動作)が限界なのに対し、世界最速ドラマーは10Hzの動作(1秒間に10回叩く動作)を安定して遂行可能なことが示され、10Hzという極めてすばやくかつ安定した動作の制御背景には主動筋-拮抗筋間の高いコヒーレンス関係が存在することが明らかとなった。「伝統技能班」は書道・剣道の伝書分析を継続し、また身体パフォーマンス文化と学習文化の国際比較研究を進行中で、その成果の一部をドイツで発表した。 「伝統芸能班」2008年2月にハワイで実施したモーションキャプチャを利用した「フラ」における身体(形)の調査データを基に分析を進め、その成果を学会にて公表した。またモーション・キャプチャというテクノロジーがどのようにフラの「わざ」の学習や継承に有効か否かの検討を継続している。各メンバーとも各種学会・雑誌での発表の他、本科研の合同研究会(9月・京都大)を行い、各グループの成果を報告し、来年度へ向けての方向性を討議しあった。
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Research Products
(27 results)