2008 Fiscal Year Annual Research Report
数学・物理学の様々な局面で現れるモジュラー・準モジュラー形式の総合的研究
Project/Area Number |
19340009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 昌信 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 教授 (70202017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 正夫 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20022733)
田口 雄一郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (90231399)
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Keywords | モジュラー形式 / 準モジュラー形式 / 結び目不変量 / 楕円モジュラー関数 |
Research Abstract |
楕円モジュラーj・関数,およびそのレベル2,3での類似物のフーリエ係数の2進的,3進的な性質を計算し,Atkinのやり方に倣ったある種の極限を取ることにより得た2進,3進モジュラー関数について,その特定のモジュラー関数による展開係数の2進,3進位数について著しい明示的公式を証明し発表した.それとともにエクストリーマルなモジュラー形式とあるテータ級数の間の2べき,3べきを法とする合同式を証明した.この応用として,エクストリーマルなモジュラー形式のある分数べきが整係数になることを証明し発表した. sl2の制限量子群の射影加群のラディアルパートの1のべき根への特殊化から結び目不変量を構成した.これと色つきアレキサンダー多項式,またコンフォーマルフィールドセオリーとの関係を論じた.これらはいずれもモジュラー形式,また擬モジュラー形式との関係が深い対象で,その明示的な関係を見つけることが来年度以降の課題となる.今後の研究計画の遂行上最も重要な発見であると思われる,楕円モジュラーj-関数の実二次点での「値」についての数値実験を拡張し,マルコフ数に関連する実二次数での値を組織的に計算した.マルコフ数の理論では二次無理数の一般線形群(整数環上)に関する同値類が問題になるが,この場合は特殊線形群に関する同値類が問題になる.得られた結果はこの「値」のある種の「ディオファンタス連続性」を強く示唆しており,マルコフ数の理論の精密化と,この数値実験から観察される事実の証明は今後の最も重要な課題である.数値実験から得られる予想と,定義から導かれるいくつかの簡単な性質をまとめて発表の予定で,来年度には公表される見込みである.
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