2009 Fiscal Year Annual Research Report
代数体上の有限クレモナ変換群に対するネーター問題と数論への応用
Project/Area Number |
19340011
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
橋本 喜一朗 Waseda University, 理工学術院, 教授 (90143370)
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Keywords | ガロア群 / ネーター問題 / 生成多項式 / クレモナ変換群 / 不変式 / 代数曲線 / ヤコビ多様体 |
Research Abstract |
「ネーター問題」の研究に関して,以下の研究を行った. (1)16個の6次の可移置換群Gの各々に対して,3変数有理関数体Q(x,y,z)への Gのクレモナ変換作用に関するネーター問題をしらべた.昨年度の研究でG=(6T10),(6T11),(6T14)の場合が解決されたので,最後に残ったG=(6T15),(6T16)について研究を行った.この場合の有理性の直接的な決定問題は大変難しくて,解決にはいたらなかったが,4個の生成元とそれらの関係式を構成し,同問題の解決に向けて大きな進展があった.またG=(6T16)を2元体上の4次元斜交群と同一視することによって,6次置換群のネーター問題と2次のジーゲルモジュラー群のレベル2の合同部分群に対するジーゲル保型形式の次数付き環の商体が,本研究と本質的には同値であることが明らかになった.このアイデアにより,1960年代の井草の研究結果を応用することによって,G=(6T16)の場合の3次元クレモナ変換群におけるネーター問題を肯定的に解決することができた. (2)種数2の代数曲線のヤコビ多様体の3等分におけるガロア表現の研究を行った. 特に5次多項式f(x)から定まる種数2の代数曲線のヤコビ多様体の3等分を幾何学的に考察し,そこへのガロア表現の像がPGSp(3)になることを示した. 3等分の一部が定義体上に有理的である場合にガロア表現の退化が生じるが,その詳細についても詳しく研究を行った. また,2009年12月に研究集会「ガロア理論とその周辺」を金沢大学サテライトプラザにおいて,2010年3月に整数論研究集会を早稲田大学理工学部において開催し,この一年間の成果と今後の課題について討論した.
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Research Products
(2 results)