2007 Fiscal Year Annual Research Report
氷コア解析に基づく北部北太平洋への陸起源物質降下量復元
Project/Area Number |
19340137
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
白岩 孝行 Research Institute for Humanity and Nature, 研究部, 准教授 (90235739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 澄人 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30391163)
山懸 耕太郎 上越教育大学, 学校教育学部, 准教授 (80239855)
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Keywords | 雪氷コア / 気候変動 / 地球温暖化 / アラスカ / 高山環境 / 氷河 / 流動 / 雪氷 |
Research Abstract |
北米大陸最高峰のマッキンリー山の近傍、アラスカ山脈オーロラ山の北東に位置する氷河上の分氷界において、全長180.17mの雪氷コアを掘削した。掘削に要した期間は、平成20年5月18日〜6月10日の約3週間である。掘削の傍ら、氷河の氷厚測定、流動速度測定も実施した。掘削した雪氷コア約2000kgは、掘削地点から麓の国道まで空輸し、ここからアンカレッジまで冷凍トラックを用いて輸送した。その後は、ドライアイスを用いて航空機により関西国際空港に空輸し、再び冷凍トラックによって京都の総合地球環境学研究所の冷凍試料室に輸送した。 本雪氷コアは、アラスカ山脈において、世界で初めて掘削された雪氷コアである。これまでは、主として海岸よりに位置するランゲル・セントエライアス山脈において雪氷コア掘削が行われてきた。本コアの解析により、北部北太平洋を越えてアジア大陸から北米に輪送される種々の物質について、更なる理解が深まるものと予想される。また、アラスカ山脈は、アラスカにおける森林火災の最頻発地域に位置しているため、本雪氷コアを用いた森林火災の変動史の復元も試みたい。 8月以降、この全長180.17mの雪氷コアの種々の分析を総合地球環境学研究所と北海道大学低温科学研究所で進める予定である。まずは、酸素・水素同位体比、主要イオン濃度、鉄を中心とする微量金属濃度の測定を実施する。また、本雪氷コアは、夏に一部が融解する地点で掘削されたコアである。このため、夏期気温の指標となる融解・再凍結氷の分布を優先して定量化し、夏期気温の復元も行う予定である。
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