2010 Fiscal Year Annual Research Report
トレーサー内蔵ペレットによる粒子輸送・高速粒子・元素スペクトル同時計測
Project/Area Number |
19340179
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
須藤 滋 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (50142302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 直樹 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (80390631)
尾崎 哲 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50183033)
鈴木 千尋 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (30321615)
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Keywords | 計測用トレーサー / ペレット / 粒子輸送 / 高速粒子 / 元素スペクトル |
Research Abstract |
トレーサー内蔵固体ペレット(TESPEL)の特長として、1)プラズマ中のほぼ任意の位置にトレーサーを局所的にデポジットできること、2)トレーサー粒子の総原子数をトレーサー内蔵ペレット製作時に前もって決定できること、3)トレーサー粒子種の選定がほぼ任意であることなどが挙げられる。本研究の目的は、このトレーサー内蔵ペレットを用いて、粒子輸送、高速粒子及び元素スペクトルなどを同時に観測することにより、プラズマの振る舞いや関連する物理量を従来に比べて格段に高い精度で計測することである。平成22年度は、不純物輸送における原子番号の異なる粒子種依存性を一度に計測する手法の拡大を重点的に進めた。本手法は、TESPELの特長を活かして、1個のTESPEL中に複数種のトレーサーを充填し、同一のプラズマにおいてそれらトレーサーの振る舞いを同時に観測するものである。3種類のトレーサー(今回はV、Mn及びNiの組み合わせ)が充填されたTESPELをプラズマ中に入射し、それぞれのトレーサー粒子からの発光スペクトルの時間変化を真空紫外分光器及びX線パルス波高分析器によって同時に観測することに平成22年度の実験において成功した。これまでの解析から、それぞれの粒子種のLi-like線やK alpha線の減衰時間に明確な違いがあること等が分かってきている。また、プラズマの密度が高い場合には、総じて減衰時間が長くなる傾向が得られている。これらの結果は、不純物輸送特性のZ依存性に関する実験的知見を深めていく基盤が整ったことを示している。また今後の展望として、プラズマ中に導入されたトレーサーの粒子数が既知であることから、発光スペクトル強度の比から発光スペクトル強度を絶対校正できることや充填するトレーサー種の最適化により放射光分布をきめ細かく最適化できることなどが考えられる。
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