2007 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲン化多環芳香族炭化水素の発生源と発生機構に関する研究
Project/Area Number |
19350076
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
雨谷 敬史 University of Shizuoka, 環境科学研究所, 准教授 (10244534)
|
Keywords | GC / MS / NCI / 多環芳香族炭化水素 / ハロゲン化合物 |
Research Abstract |
多環芳香族炭化水素(PAH)は、不完全燃焼から発生する空気中の代表的な発がん・変異原物質群である。一方ダイオキシン、PCBは芳香環骨格に塩素が結合した構造をとり、内分泌攪乱性が問題となっている。本研究では、これらの2つの物質群の特徴を併せ持つハロゲン化多環芳香族炭化水素(PAH-X)に注目し、これまでにその生成の実態や環境中での動態がほとんど明らかになっていないこれらの化合物に関して、発生源や動態解析を行うことを目的としている。しかしながら、従来の四重極型のGC/MSでは、PAH-Xの検出下限値は約lngと、十分な感度が得られず、プラスチック燃焼生成物解析実験においては、ポリ塩化ナフタレン系の分析しかできなかった。また、環境動態解析に於いては、ハイボリュームエアサンプラーを1週間稼働させて得た試料でようやく分析が可能になる程度であり、捕集中の分解や揮散が懸念されていた。本補助金を受けて設置した四重極GC/MS/NCIは、メンテナンスや測定条件設定が簡便な四重極MSDを使用しながら、化合物によっては、電子衝撃イオン化法の100倍以上の感度が得られることが判った。そこで本研究では、まずこの四重極GC/MS/NCIを用いたPAH-Xの分析条件を確立し、20成分にも及ぶPAH-X分析法を開発した。また、電気炉を用いたプラスチックの燃焼試験では、燃焼法や捕集法の検討を進めているが、良好な結果を得られつつある。
|