2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体内リン酸アニオン種の機能解明を目指した蛍光プローブ群の創製
Project/Area Number |
19350085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
王子田 彰夫 Kyoto University, 工学研究科, 講師 (10343328)
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Keywords | 蛍光プローブ / リン酸アニオン / バイオイメージング / タンパク質 / 分子認識 |
Research Abstract |
(1)キサンテン型プローブの細胞内ATP顆粒の蛍光検出への応用 申請者が見いだしたキサンテン型蛍光プローブのATPなどのヌクレオシドポリリン酸類に対する特異的な蛍光センシング能を用いて、細胞内に存在するATP顆粒の蛍光可視化について検討した。コントロール実験や他の蛍光プローブを用いた共染色実験などの結果から、キサンテン型蛍光プローブがATP顆粒を特異的に染色している事を強く示唆する結果を得た。ヌクレオシドポリリン酸種に対する小分子型の蛍光プローブを、細胞系でのバイオイメージグに応用した例はこれまでにほとんど知られておらず、この点において本成果は重要なものである。本研究ではさらに、キサンテン型蛍光プローブを、糖転移酵素やNudix Hydrolaseなどが触媒する酵素反応のリアルタイムでの蛍光モニターリングに応用した。In vitroの条件で得られた結果は良好であり、本プローブが酵素アッセイへと応用できる事を明確に示すことができた。 (2)脳内リン酸化タウタンパク質凝集体の特異的蛍光検出 これまでに開発したBODIPY型プローブの脳内リン酸化タウタンパク質凝集体の染色能について、さらに詳細な検討を行った。いくつかの抗体染色法を用いたコントロール実験を行い、矛盾のない結果を得た。また、大腸菌発現系により得たタウタンパク質をリン酸化後に人工的に会合させて得た凝集体を用いた染色実験において、BODIPY型プローブが凝集体のリン酸基と強く相互作用することによって、凝集体に集積していることを明らかとした。最も興味あることに、BODIPY型プローブは脳内に蓄積をしているアミロイド凝集体は染色せず、リン酸化タウタンパク質凝集体を選択的に染色していることが脳組織切片を用いた染色実験から明らかとなった。タウタンパク質凝集体をアミロイド凝集体と区別して選択的に染色できる蛍光プローブはほとんど報告例がなく、リン酸アニオンに対する特異的相互作用を巧みに利用した今回の成果は重要なものである。
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