Research Abstract |
本課題の目的は,広いダイナミックレンジ,高い検出感度など,極めて優れた特長を有しているヘテロダイン検出法と,CT(Computed Tomography)の技術を組み合わせた「THz ヘテロダイン CT 法」を開発し,高感度・高精度の透過型および反射型THzイメージング技術を確立することにある. 平成19年度は,干渉計を基礎とした反射型テラヘルツOCTの実現を目指し,光学系の試作,改良,分解能や撮像特性の評価を進めてきたが,その過程で,X線CTで普及しつつあるトモシンセシスという手法を用いた撮像法が有効であると判明した.トモシンセシスとOCTはともに被写体内部の奥行き情報を観測する撮像法であるが,トモシンセシスは障害陰影のない撮像が可能で,さらに抽出したい情報のみ強調することが可能である.今年度前半は,ステージ走査制御系,データの取込と処理系を構築しながら実験の事前準備を進め,後半は光学系の試作と性能評価,高速制御法の検討を行なった. 本課題では,品質管理や製品検査などの分野で,製品内部の欠陥を画像により診断することを目標としている.実験では,工業製品を中心に混入物や形状が既知の試料(紙,木材,プラスチックやゴム製品など)を用いて実験を重ね,撮像特性の評価を進め,その有効性を確認した.同時に,応用の可能性としてニーズの調査も実施した. また,取得した画像を定量的に評価するためのアルゴリズムの開発も同時に行なった.X線など様々な断層画像では,測定対象表面からの反射や内部での回折から生じるアーチファクトが画質低下を招き,定量的評価が困難となる.このようなアーチファクトを補正し,除去するアルゴリズムの開発を,実データとシュミレーションを基に進めてきた.上記実績から,平成19年度は学会発表1件の成果となった.
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