2008 Fiscal Year Annual Research Report
解体建物を利用した地震時被災構造物の損傷評価手法の開発
Project/Area Number |
19360255
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Research Institution | 鹿島建設株式会社 研究・技術開発本部技術研究所 |
Principal Investigator |
鈴木 康嗣 鹿島建設株式会社 研究・技術開発本部技術研究所, 都市防災・風環境グループ, 上席研究員 (70416767)
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Keywords | 損傷評価 / 耐震 / 健全性 / 振動試験 / 常時微動 / システム同定 |
Research Abstract |
下記2棟の実建物において擬似地震時損傷前後の振動試験を実施した。 (1)RC造3階・地下無の解体建物において,2階の1箇所の耐震壁に順次水平方向の損傷(カッターにて長さ1m,2m,4m,8m)を加え,損傷前(ライブロード撤去後)と損傷後(4段階)に起振機加振試験(大型と小型起振機の2種類)と常時微動測定を実施した。その結果,損傷長さが1mや2mでは損傷の影響を振動データから読み取ることは難しいが,損傷長さが8mでは僅かではあるが振動データに損傷の影響が認められることが分かった。この実験結果より,小さな損傷では建物動特性の変化として損傷を確認できないが,ある程度以上の損傷があれば確認できること,すなわちどの程度の損傷が生じれば測定データから損傷を検知できるかが明らかとなった。 (2)可変剛性システムを有した地上3階,地下1階の鉄骨造建物の可変剛性(6箇所)のon/offによる剛性変化を利用し,剛性の組み合わせを8種類に変えた状態で起振機加振試験(中型と小型起振機の2種類)と常時微動測定を行い,建物内のさまざまな位置に擬似地震時損傷(可変剛性off)が生じた場合の動的応答の変化を実測した。その結果,中型起振機では建物各所の擬似地震時損傷による振動の変化を明確に確認できるが,小型起振機や常時微動測定ではほとんど確認できないことが分かった。擬似地震時損傷が建物各所に存在する場合の貴重な振動データが得られたので,システム同定などの損傷評価手法の高度化に利用できる。 なお,上記(1)は昨年度実施予定で解体が延期されたために本年度11月に実施したものであり,(2)は解体がさらに延期された場合を想定して既存建物で行ったものである。
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Research Products
(2 results)