2007 Fiscal Year Annual Research Report
良質な社会資本の実現を目指した日本版PFIの評価と改善に関する研究
Project/Area Number |
19360267
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野田 泰明 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (00185654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 要 千葉大学, 工学部, 准教授 (20311615)
岡本 和彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40361521)
有川 智 独立行政法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 上席研究員 (00212639)
石井 敏 東北工業大学, 工学部, 准教授 (90337197)
坂口 大洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70282118)
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Keywords | PFI / 学校教育施設 / 医療施設 / 福祉施設 / 社会福祉施設 / 計画マニュアル |
Research Abstract |
今年度は、日本国内において、施設型ごとのPFI制度の運用のされ方とPFIで建設された施設の実地調査(簡易POE(Post Occupancy Evaluation))を行った。柳澤を中心とする教育施設班、岡本を中心とする医療施設班、石井を中心とする福祉施設班、そして小野田・坂口を中心とする制度班が連携を取りつつ作業を行った。特に、制度という出発点において、すでに施設型ごとに問題構造は大きく異なっていることが確認された。なかでも特徴的な作り込みがなされているのが福祉施設であった。この施設型は、法律で社会福祉法人等に運営が限定されていることや収入が介護保険中心となるといった特殊性があるが、PFIによって計画できるビルディングタイプが、事実上「新型ケアハウス」という種類に限定されていること、さらにその作り込みが、助成を活用して自治体が施設を買い取る変則的BTOとなっており、事業規模が小さいため自治体が雇うことが困難となるコンサルタントを代替するため、新たに計画マニュアルが作成されているといった極めて特殊な進化を遂げていることなどが明らかとなった。これらは、教育施設が比較的普通の作り込みで建てられているのとは対照的であった。 簡易POEでの判断ではあるが、今回調査対象としたPFI物件が、建築の質において具体的に劣っているということは確認できなかったが、その一方で、学校に関してはPFIで建てられた校舎は、比較的余裕ある面積配分がなされており、それがあまり使われていないという性向が共通することも把握した。これらは、見かけ上のVFMを大きくするために事業規模をふくらませる一方、運営に関するつくりこみが必ずしも十分ではないことが背景にあるとも推察できる。このように初年度では、部分的ではあるがPFIという仕組みが、実際の建築の内容に影響を与えていることを把握した。次年度では、英国調査と並行して、これら国内の状況を精査することを通じてPFIの運用に潜む問題点を明らかにしていく。
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