2009 Fiscal Year Annual Research Report
良質な社会資本の実現を目指した日本版PFIの評価と改善に関する研究
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19360267
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野田 泰明 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (00185654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 要 千葉大学, 工学部, 准教授 (20311615)
岡本 和彦 東京大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40361521)
有川 智 東北大学, 建築研究所・住宅都市研究グループ, 上席研究員 (00212639)
石井 敏 東北工業大学, 工学部, 准教授 (90337197)
坂口 大洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70282118)
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Keywords | PFI / 公共建築 / 英国 / 制度 / 発注システム |
Research Abstract |
本研究は近年注目されているPFI事業に焦点をあて、先行して導入し成果を上げている英国との比較調査を通して、我が国における良質な社会資本実現のための発注システムの課題と具体的な在り方を提案するものである。実際の調査は、日英両国のPFI事業の制度と運用状況に対して、PFIに関連する公的組織、自治体、事業者(設計者、建設会社)及び関連の有識者へのヒアリング調査と公的資料の分析を行った。次に具体的なPFI事業により整備された公共施設(教育、医療、福祉)の両国の比較と簡易的な利用状況把握調査、更に日英の図書館PFI事業をケーススタディーとして、事業プロセス及び整備運用状況を詳細に把握した。 本研究の結果、我が国のPFI事業の課題として、自治体における専門的な発注能力の不足、個々の設置法との整合性、VFM算定根拠の曖昧さ、BTOを主体とした運用状況などがその要因として明らかとなった。 他方英国に関する比較研究において、PFI事業の制度設計上の背景の違い、特にプロセスの各段階(ゲートウェィ)におけるチェック機能と補助金等の交付、PFI事業プロセスにおける官民一体の支援組織(PUKや4PS)の存在、CABE等の建築デザインの質を確保するための支援組織の存在などが確認できた。日英の図書館PFI事業におけるケーススタディーでは、両事業とも一定の建築的な水準を確保されているものの、日本の場合初期のPFI事業であり自治体も意欲的に取り組んでいたこと、発注者、事業者の関係者の協力により具体化したのに対して、英国の場合は計画・立案に対する長期間の事業検討、建築・エネルギー性能等の評価基準の明確化、優先交渉権者決定後の詳細な契約の策定とリスクの明確化などがその要因として指摘できる。 具体的な建築の質とサービスの確保が実現している背景には、事業制度全般に関わる思想の違いが存在しそれらを把握した上で、我が国のPFI事業の改善が望まれる。
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Research Products
(4 results)