2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360306
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鵜飼 重治 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00421529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貫 惣明 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10142697)
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Keywords | 熱間圧延 / 酸化物分散強化 / 引張試験 / 複相組織 / 残留α相 / ナノ酸化物粒子 / α/γ逆変態 / 炭化物溶解 |
Research Abstract |
放電プラズマ焼結で成型した固化体を1,000℃オーステナイト域で80%まで熱間圧延することにより、ODS複合材の引張強度とクリープ破断強度は従来材に比べて遥かに凌駕する優れた性能を発揮することを発見した。FE-SEMによる組織分析とEBSDによる構造解析を行い、熱間圧延によりオーステナイト域からの冷却中にマルテンサイト変態ではなくフェライト変態が生じ、粗大な「変態フェライト相」が生成していることを見出した。そこで、熱間圧延により粗大な「変態フェライト相」が生成するメカニズムをODS複合材の連続冷却変態線図に基づき検討し、フェライト変態のノーズが熱間圧延で導入された微細結晶粒化と高歪により高冷却速度側にシフトすることがその原因であることを示した。また、粗大な「変態フェライト相」の生成により強度・延性が大幅に向上するメカニズムを検討し、パケットとブロックから成るマルテンサイト相ではそれらの異相境界で局所変形が誘起されるに対し、粗大な「変態フェライト相」では結晶粒界での局所変形が抑制されることがその原因であることを明らかにした。以上の検討を踏まえ、優れた高温強度と延性を有する酸化物分散強化複合材料の組織は,硬質相である「残留フェライト相」、及び軟質相で粗大な「変態フェライト相」と微細な「焼戻しマルテンサイト相」を適切に分散させた3相複合組織であり、このような組織に制御するためには、オーステナイト域での熱間圧延加工が有効であることを提示した。今年度は最終年度であることから、酸化物分散強化複合材料としてのODS複合材について、4年間に実施した実験結果とシミュレーション解析結果を報告書および論文としてとりまとめた。
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Research Products
(19 results)