2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内mRNAの定量的分布解析と細胞へのmRNA導入技術の開発
Project/Area Number |
19360379
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 史 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究グループ長 (40357661)
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Keywords | 細胞操作 / RNA抽出 / AFM / ナノニードル / タンパク質発現 |
Research Abstract |
我々は、シリコンAFM探針を集束イオンビームで加工し先鋭化した探針(ナノニードル)を用いて、低侵襲に細胞への物質導入、または細胞内の物質を検出する技術の開発を行っている。昨年度までにおいて、ナノニードルを用いた生細胞内のmRNA検出を試み、アミノシラン修飾を介してモレキュラービーコンを固定化したナノニードルを用いて生細胞内においてmRNAの検出が可能であることを報告した。しかしながら、この検出系においてS/N比が低い問題があった。より高いS/N比での生細胞内mRNAの検出を実現するために、自己組織化単分子膜(SAM)を介してモレキュラービーコンを固定化した金コートナノニードルの利用を検討した。 単結晶シリコンからなるナノニードルにクロム、及び金を順に蒸着し、金コートナノニードルを作製した。ビオチン修飾アルカンチオールを用いて金表面にビオチンが提示されたSAMを形成後、表面にストレプトアビジン、次いでビオチン修飾モレキュラービーコンを固定化することで、モレキュラービーコン固定化金コートナノニードルを作製した。モレキュラービーコンはHuman GAPDH mRNAを認識するものを使用した。AFMを用いてモレキュラービーコン固定化金コートナノニードルを培養2日目のHeLa細胞に挿入し、共焦点レーザー走査型顕微鏡による金コートナノニードルの蛍光観察を行った。得られた蛍光像の蛍光強度を算出した結果、挿入前と比較して約9倍の蛍光強度の増大が観察された。これまでに既に報告したアミノシラン修飾を介したモレキュラービーコン固定化ナノニードルを細胞に挿入した場合、観察された蛍光強度の増大は約2倍であった。本結果により、金コートナノニードル上へのSAMを介したモレキュラービーコンの固定化法を用いることにより、より高S/N比での細胞内mRNA検出が可能であることが示された。
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Research Products
(8 results)