2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19360397
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
馬場 信弘 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (10198947)
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Keywords | 海洋工学 / 海洋物理 / 環境技術 / 環境予測 / 海洋科学 / フロント / 重力流 / 密度成層 |
Research Abstract |
III. 実海域への応用のための要素技術の開発 実験室レベルの現象に比べてレイノルズ数が10^3から10^4倍高く,運動のスケールの範囲が増大した実海域におけるフロントを捉えるため,有限個のグリッド上での計算では捉えられない小さいスケールの運動がグリッド上の大きなスケールの運動に与える影響を密度の非一様性を考慮した渦動粘性によるサブグリッドモデルを定式化し,前年度開発したフロントの計算に導入した.中間レイノルズ数においては,界面における混合を促進する乱れの効果が得られることが分かったが,高レイノルズ数では再びフロント近傍での空間的な数値振動に見舞われた。これは渦動粘性が密度界面において不連続変化するためであり,拡散型の数値的不安定性が生じていることが明らかになった. また,計算効率を上げるため,フロント,密度界面,壁境界近傍など,時間的に変動の激しい領域を集中的に反復することにより収束速度を上げる方法を開発した.収束回数は大幅に減少し,計算量は減少したが.さらに,実際のCPU時間を大幅に短縮するためには,収束の悪いセルを捜索するアルゴリズムの改善が必要であることが明らかになった. さらに,効率を改善した方法によって,実験室レベルのフロントの長時間の計算を行った.その結果,水門開放による流体交換によって生成されたフロントは,一定速度で進行する初期段階から,壁面における反射など特別な擬乱がなくても,フロントの位置が時間の1/2乗に比例して減速する段階に自然に遷移することが明らかになった.この遷移は長水槽を用いた水槽実験によっても再現され,遷移点が定量的に一致した.この現象は初期のポテンシャルエネルギーがフロントの運動エネルギーに消費される平衡状態から,壁面における粘性摩擦によって散逸される平衡状態への遷移であることが理論的に説明された。
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Research Products
(2 results)