2008 Fiscal Year Annual Research Report
電位勾配下におけるベントナイト中のイオンの移動挙動に関する研究
Project/Area Number |
19360430
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
出光 一哉 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 教授 (10221079)
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Keywords | ベントナイト粘土 / みかけの拡散係数 / 分散係数 / 還元環境 / 鉄イオン / 間隙水pH / 放射性廃棄物 |
Research Abstract |
ベントナイト粘土中のイオンの移行挙動は、放射性廃棄物処分の安全評価のため重要であるが、地下の還元環境を模擬した実験は困難であった。また、イオンの中には移行の極めて遅いものがあり、その移行パラメータを現実的な期間で得るための手法が必要とされていた。提案者らは、電気化学的手法を用いて、ベントナイト粘土中に安定な還元環境を生み出し、粘土中のイオンの移動を加速して移行のパラメータを得る手法を開発した。 平成19年度に得た鉄の移行挙動とpH測定データに基づき、平成20年度はアルカリ金属の移行挙動に関するパラメータを得た。本手法により、鉄イオンと同じくアルカリ金属イオンもは移行を加速し数日間で数mmの距離を移動した。電位による移動速度および分散係数は、カリウム=鉄>ルビジウム>セシウムの順となっており、イオン半径との相関関係(反比例)が示された。また、通常の拡散実験も同時に行い、鉄共存系で得られた分散係数と比較を行った結果、ベントナイト粘土中のナトリウムイオンと鉄イオンが置換することにより拡散係数が低下する傾向があることを見いだした。鉄同様カリウムでは電位の上昇に伴い移動速度の増加がみられたが、ルビジウムとセシウムには大きな変化がみられなかった。一方、ルビジウムの分散係数は電位の上昇にともわずかに増加傾向をしめしたが、カリウムとセシウムには大きな変化はみられなかった。平成19年度に求めた鉄イオンの移動速度と分散係数の比例関係は、アルカリ金属イオンに対しては明確に見ることができなかった。しかしながら得られた拡散係数は、通常の拡散実験によって求められる拡散係数とほぼ同じ値であり、短い試験時間で還元環境での拡散係数を得ることができた。 次年度は、アルカリ土類イオンおよび3価のイオンの移行挙動パラメータ取得を行う。
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