Research Abstract |
分類学的多様性の把握:駿河湾沿岸,紀伊半島沿岸,沖縄本島の海生種,富士山麓湧水,興津川の淡水生種について,およそ20種の未記載種を確認した.順次記載し,投稿および準備中である. 生態的多様性の把握と新たな考察:貝形虫類のメイティングシステムを行動と形態から考察し,オスによるメスの捕握,上唇による接触刺激の伝達,交尾栓の形成をつきとめた.また,オスの交尾器がメスとの「軍拡競争」によって特殊化してゆく過程を,分子系統を指標にして明らかにした. 分子系統解析:海生間隙性貝形虫類10種について,18S r DNAおよびmtCOIDNAの塩基配列を明らかにしてこれを比較し,系統関係を推定した.これにより,Cobanocythere属における形態形質中から,複数の共有派生形質を割り出すことができた. 進化的新奇性の理解:間隙性微小甲殻類を用いて,目の退化に関して考察し,目を構成する器官の間には,発生学的に見て階層性のモジュールが存在すること,目の退化は幼形成熟的進化(paedomorphosis)が関与していることを明らかにした.また,閉殻筋の配列を共焦点顕微鏡を用いて観察し,様々なパターンができるメカニズムを明らかにしつつある. 上記の研究成果は学術誌,学会大会,新聞において公表された.
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