2010 Fiscal Year Annual Research Report
間隙性貝形虫類(甲殻類)にみられる爆発的種分化と祖先的分類群の保存に関する研究
Project/Area Number |
19370034
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塚越 哲 静岡大学, 理学部, 教授 (90212050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 隆広 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (80194976)
スミス ロビン 滋賀県立琵琶湖博物館, 学芸技師 (70416204)
中尾 有利子 日本大学, 文理学部, 助手 (00373001)
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Keywords | 間隙生物 / 種分化 / 生物多様性 / 貝形虫類 / 甲殻類 |
Research Abstract |
前年度より引き続き,未記載種の発見と記載が行われた.6種が新種として記載されて学術誌に公表された.これに続き,現在5種について学実論文に公表準備中である. 堆積環境とそこに生息する貝形虫類の関連性についての調査が行われた.伊東市内にある隣接した2つの海岸,小網代とイルカ浜を調査地とした結果,両者には全く異なる貝形虫類相が成立していることが明らかになった.また中粒砂からなる小網代は,粗粒砂からなるイルカ浜に比べて種数個体数密度ともに高く,概ね小型種が多いことが明らかにされた.さらに堆積物中のクロロフィルaと酸可溶性有機物量の測定が行われ,これらの量が小網代においてイルカ浜よりも著しく高いという結果が得られた.これは,貝形虫類の餌の量を反映していることを示唆するものであり,2つの浜の貝形虫類相と個体数密度の違いに密接にかかわるものと思われる. 間隙性貝形虫類の交尾行動についても新たな発見がなされた,背腹方向に極端に扁平な背甲をもつCobanocythere科貝形虫類は,いずれも雄の第二歩脚が縮退していることが以前から知られていたが,この縮退した第二歩脚は,交尾行動時にはメスの背甲を内側から捕握する機能を有し,同時にメスに接触刺激を与える,もしくは雄自身が自分の交尾ポジションを確認するための感覚器官として働いていることが示唆された. 発生についても新たなデータが得られ,間隙性貝形虫類の小さな体サイズは,脱皮ごとの成長率を通常の1.2-1.4倍であるのに対して1.2倍以下に抑制することによって成り立っていることが示された.
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Research Products
(12 results)