Research Abstract |
既に確立しているデンプン変異体を用いて,二重変異体および組換体を作出することで,ユニークなデンプンを蓄積するイネの開発を目指している。平成19年度は,作出目標にしている5種類のイネのうち,超高アミロース米が期待できるスターチシンターゼI(SSI)/SSIIIa,低分子量アミロペクチン米が期待できるSSIIIa/枝作り酵素I(BEI),超レジスタントスターチ米が期待できるSSIIIa/BEIIb間の二重変異体および高分岐長鎖長米が期待できる(SSIIa高発現イソアミラーゼ(ISA)変異体)を確立した。このうち,SSI/SSIIIa間の二重劣性ホモ個体は得ることができなかったが,SSIとSSIIIaいずれかがヘテロの種子を形態的特徴から得ることができた。また,SSIIIa/BEIおよびSSIIIa/BEIIbは,二重劣性ホモ種子を得ることができた。ISA変異体にSSIIa遺伝子を強発現させた形質転換イネも,T_1種子を得ることができた。これらの得られた種子は,現在,デンプン構造,物性などを解析中であるが,非常にユニークな性質を持つことがわかってきた。超高アミロース米が期待できる結合型SS(GBSSI)高発現組換体とSSIIIa変異体間の交配を行い,F2種子を得た。平成19年度は,シングル変異体のデンプン構造の詳細や,物性を解析した。特に,SSIIIa変異体の構造は,分子量が低下し,高アミロースであり,粘弾性などの物性も独特であることがわかった。また,アメリカで2年に1回行われるデンプンの国際会議(Starch round table)に藤田と阿久澤が参加し,デンプンの基礎および応用研究等の情報を入手した。
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