2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380092
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
窪野 高徳 Forestry and Forest Products Research Institute, 森林微生物研究領域, 領域長 (80353671)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 優 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (10353583)
升屋 勇人 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70391183)
山路 恵子 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (00420076)
|
Keywords | スギ / 枝枯菌核病 / 侵入門戸 / 虫えい / 組織構造 / スギタマバエ成虫 / 抗菌性物質 / プロリン |
Research Abstract |
スギタマバエ成虫が本病原菌の伝播に関与するか否かを明らかにするため、成虫による本菌の随伴について検討した。スギタマバエ虫体から随伴菌を分離・培養し、分離菌について同定作業を実施した。その結果、26種類の菌が分離されたが、大部分はCladosporium clad osporioidesであり、本菌は検出されなかった。以上から、スギタマバエは本菌のベクターには成り得ず、本菌による虫えい内への感染は偶発的なものと推察された。虫えい形成過程における組織構造の変化を解剖学的に明らかにする研究を行った。虫えいの形成段階別に組織を固定・解剖して構造の変化を検鏡した結果、成熟した虫えいの内壁において、表皮細胞やクチクラ層の欠損が見られた。病原菌の侵入を阻止する役割を持つ表皮細胞やクチクラ層の欠落は、病原菌の侵入を容易にすることが予想された。生育段階に沿って虫えいを採取し、虫えい内における無機栄養成分及びアミノ酸類を明らかにし、これらの化学物質が本菌の虫えい内への侵入に与える影響を検討した。虫えい、虫えい周囲組織及び虫えい形成がない針葉(対照区)の3部位に分けて化学分析を行った。その結果、虫えいでPとN濃度が高いことが判明し、その理由として虫えいに含まれる幼虫由来のPとNが影響していると考えられた。また、虫えいにおいて、高濃度で含まれたアミノ酸はプロリンとシトルリンであった。プロリンはタンパク質の構成物質になる他、葉の乾燥障害に対する保護物質としても特別な意義がある。虫えいの孔口は常に開口していることや虫えいの内壁にはクチクラ層がないことから、虫えい内部が乾燥しているため、プロリンが機能している可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)