2009 Fiscal Year Annual Research Report
高マンノース型糖鎖特異的海藻レクチンライブラリの構築とその生物活性に関する研究
Project/Area Number |
19380122
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀 貫治 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (50116662)
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Keywords | 海藻 / レクチン / 高マンノース型糖鎖 / 遺伝子 / 糖鎖結合特異性 / 生物活性 |
Research Abstract |
海藻から高マンノース型糖鎖に厳密な結合特異性を示すレクチン群が見出されている。これらは、分岐糖鎖部分の認識部位およびN末端アミノ酸配列の違いに基づいて、3つのタイプ(I、II、III)に分類される。本レクチン群の中には、有用な生物活性(経口投与による実験動物の大腸ガン発現抑制、抗HIV、ニワトリモノクローナル抗体の簡易精製用リガンド等)を示すものが存在する。本研究では、高マンノース型糖鎖特異的海藻レクチンの糖鎖認識および生物活性の分子基盤を明らかにすることを目的とする。 タイプIに属するOscillatoria agardhiiレクチンの3次構造解析にはほぼ成功したが、糖鎖複合体の構造解析にはいたらなかった。食用養殖種Kappaphycus alvareziiのレクチンについて2種cDNAを得て、全長塩基配列を決定した。同レクチンのヒト大腸ガン由来培養細胞に対する増殖抑制作用はガン細胞表面糖鎖との結合を介して起こることを認めた。同レクチンの結晶構造解析は進行中である。タイプIIに属するBoodlea coactaレクチンについて2種cDNAを得て、全長塩基配列を決定できたが、同レクチンの組換え体を得るには至らなかった。タイプIIIに属するBryopsis plumosaレクチン(BPL-17)について、大腸菌発現系を用いて活性組換え体の調製に成功した。当初予定していた同レクチンの蛍光標識(GFP)融合タンパク質としての調製は実施できなかったが、B. plumosaの他レクチン(BPL-54)のGFP融合組換え体の調製には成功した。 上記の3タイプの高マンノース型糖鎖特異的レクチンを用いることにより、種々の高マンノース型糖鎖混合物から各高マンノース型糖鎖の分別が可能であることを認めた。
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