2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミルク由来ラクトフェリンによる疼痛管理を介した動物のQOL向上
Project/Area Number |
19380177
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
竹内 崇 Tottori University, 農学部, 教授 (20216849)
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Keywords | ラクトフェリン / 疼痛管理 / ストレス |
Research Abstract |
21年度は、牛ラクトフェリン(bLF)の作用について、神経線維特異的な鎮痛作用発現、腎臓の酸化障害軽減効果ならびに激しい疼痛を伴う臨床例に対する鎮痛効果について解析した。 1. 成熟ラットにおけるbLFの神経線維特異的鎮痛効果発現の解析 ラットの大腿神経に存在するAβ、AδおよびC線維を個別に電気刺激し、疼痛反応の発現閾値に対するbLFの効果を解析した。その結果、bLF(100mg/kg)を腹腔内投与すると、C-線維の閾値が有意に上昇した。一方、陽性対照のモルヒネ5mg/kg投与ではC-線維のほかにAδ線維に対しても閾値の上昇が確認された。したがって、bLFは痛みを伝達するC-線維を経由する痛みに対して特異的に作用することが示唆された。 2. 抗癌剤シスプラチン投与による腎臓の酸化障害に対するbLFの軽減効果の解析 ラットにシスプラチンを腹腔内投与し慢性腎不全となった5日目に解析を行ったところ、シスプラチン投与前日から5日目までbLF(300mg/kg)を経口投与することによって、有意に腎障害を軽減できることが明らかとなった。さらに、bLFはそれ自体が抗酸化作用を有するとともに、尿量を増加させて尿細管壊死を軽減することが示唆された。したがって、bLFはシスプラチンの副作用を軽減し、動物のQOLを向上させたと考えられた。 3. 臨床例に対するbLFの疼痛軽減効果の解析 椎間板ヘルニアの犬および進行性多発性関節炎の猫に対し、bLF(30mg/kg, bid)を経口投与したところ、既存の鎮痛剤では効果が見られなかった症例においても、bLFには明らかな鎮痛効果が認められた。特に、多発性関節炎症例は安静状態であっても激痛を伴うことから、bLFによってQOLが劇的に向上したと判断できる。さらに、食品由来のサプリメントとbLFとの併用によって、老化に伴う脳機能低下防止やストレス軽減効果が期待できることが明らかとなった。
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