2007 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオンは農作物中のカドミウム含量を低減する土壌改良剤になりうるのか
Project/Area Number |
19380185
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 進一 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 准教授 (00322339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 秀 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (20354962)
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (20391287)
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Keywords | カドミウム / グルタチオン / 土壌改良剤 / 維管束組織 / PETIS |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物界に広く分布する生理活性物質であるグルタチオンを利用して植物体内に蓄積するカドミウムの量を低減する技術を確立することである。平成19年度は主にアブラナを用いて、グルタチオンが植物体のカドミウムの蓄積に及ぼす影響を検討した。 植物体の様々な部位(根、新葉(シンク葉)、古葉(ソース葉))に部位特異的にグルタチオンを投与してカドミウムの吸収・蓄積を調べた。カドミウムの吸収・蓄積を抑制するのは根にグルタチオンを与えた場合のみであることを確認した。今回のカドミウム処理条件(10μMのカドミウムを水耕液に添加、2日間処理)では植物体の地上部に蓄積するカドミウムの濃度は対照区の約20%になっていた。この時、根におけるカドミウム蓄積濃度はグルタチオン処理区、対照区ともほぼ同じであり、地上部へのカドミウムの移行がグルタチオンによって抑制されていることが示唆された。グルタチオン処理によって植物体の地上部へのカドミウムの移行が抑制されることは導管液中のカドミウム濃度がグルタチオン処理区では対照区の約40%になっていることからも確認できた。 アブラナの体内を移行するカドミウムの動態をポジトロン放出核種画像化システム(PETIS)によって非侵襲な状態で可視化することを試みた。その結果、グルタチオン処理によって植物の地上部へのカドミウムの移行が抑制されている様子を撮像することに成功した。
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