2008 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオンは農作物中のカドミウム含量を低減する土壌改良剤になりうるのか
Project/Area Number |
19380185
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 進一 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 准教授 (00322339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 秀 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (20354962)
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (20391287)
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Keywords | カドミウム / グルタチオン / 土壌改良剤 / 維管束組織 / PETIS |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物界に広く分布する生理活性物質であるグルタチオンを利用することにより、植物体内に蓄積するカドミウムの万量を低減し、安全な農作物を持続的に生産する技術を確立することである。平成20年度は、グルタチオンが植物体のカドミウムの蓄積に及ぼす影響について引き続き、検討した。 グルタチオン以外のチオール基を有する化合物(システインやジチオトレイトール)を根に投与することにより、カドミウムの植物体の地上部への蓄積に及ぼす影響を調べた。いずれの物質もカドミウムの地上部への移行を抑制したが、その効果がグルタチオンとは異なっていた。実際の生産現場でのグルタチオンの使用を考え、様々な濃度のカドミウムやグルタチオンを植物の根に投与して、吸収実験を行った。根に与えたカドミウム濃度が低くなるとグルタチオンによるカドミウムの地上部への抑制効果が低くなることがわかった。また、グルタチオンがカドミウムの地上部への移行を抑制するメカニズムを解明することを目指して、根におけるカドミ ウムの挙動を調べた。その結果、グルタチオンの存在が根の細胞質に存在するカドミウムの濃度を低く抑えていることを確認した。また、イネやダイズを用いて、根に与えたグルタチオンによるカドミムの地上部への蓄積制の抑制効果を調べたところ、アブラナと同様に地上部へのカドミウムの蓄積が抑制されていた。 ポジトロン放出核種画像化システム(PETIS)を用いて、アブラナ体内のカドミウムの動態を非侵襲な状態で可視化する実験では、グルタチオンによってカドミウムの地上部への移行が抑制されている様子を再現性よく、撮像することができた。
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Research Products
(7 results)