2009 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオンは農作物中のカドミウム含量を低減する土壌改良剤になりうるのか
Project/Area Number |
19380185
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 進一 Akita Prefectural University, 生物資源科学部, 准教授 (00322339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 秀 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (20354962)
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (20391287)
伊藤 小百合 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (20512221)
|
Keywords | カドミウム / グルタチオン / 土壌改良剤 / 維管束組織 / PETIS |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物界に広く分布する生理活性物質のグルタチオンを利用することで、植物体の地上部に蓄積するカドミウムの量を低減し、安全な農作物を持続的に生産するための技術を確立することである。平成21年度は、グルタチオンが植物体の地上部へのカドミウムの移行と蓄積に及ぼす影響について引き続き、検討を重ねた。 カドミウムは植物にとって栄養上は必要のない元素である。そのため、カドミウムは植物にとっての必須重金属元素の移行経路を利用することで、植物め体内に吸収され、移行・蓄積すると考えられている。そこで、グルタチオンを植物の根に与えた場合のカドミウム以外の重金属元素の植物体の地上部への移行と蓄積についてICP発光法を用いて調べた。今回め実験では亜鉛、鉄、マンガンに注目した。その結果、根に施用したグルタチオンはこれらの重金属元素の地上部への移行や蓄積を抑制しないことが明らかになった。この結果は、この抑制効果がカドミウムにのみ特異的であるごとを示している。また、長期間(2週間)のカドミウム処理実験(10uM)を行ったところ、対照区の植物では、葉にクロロシスが発生し、明らかな生育阻害が見られた。その一方で、グルタチオン添加区の植物は外観上の変化もなく、カドミウム処理を行わない通常の条件で、水耕栽培した植物と同等(有意差なし)の生育量であった。 ポジトロン放出核種画像化システム(PETIS)を用いて、アブラナ体内のカドミウムの動態を非侵襲的な状態で可視化する実験では、新たな実験装置を作成ナることで、根圏(水耕液)から植物の根にカドミウムが吸収される様子を撮像することができた。
|
Research Products
(14 results)