2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 嘉信 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90161182)
杉山 峰崇 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80379130)
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Keywords | プロテインホスファターゼ / 酵母 / リン酸化・脱リン酸化 / プロテインキナーゼ / 核局在 |
Research Abstract |
出芽酵母の全てのタンパク質脱リン酸化酵素(PPase)を対象に網羅的な表現型解析を行い、これまでに多くの新しい表現型を見出している。そのうちの一つ、SIW14遺伝子の破壊株はカフェイン(Caf)感受性を示す。また、このCaf感受性は、転写活性化因子GLN3の破壊によって抑圧され、Caf添加時に増加するGln3標的遺伝子群の発現量がSIW14の破壊によってさらに増加することも報告している。一方、Gln3は、免疫抑制剤ラパマイシン(Rap)の添加時、TOR(target of rapamycin)経路を介して核内に蓄積し、標的遺伝子の発現量を増加させることが報告されている。近年、CafまたはRap添加時において、共通の遺伝子群の発現量が増加することが報告された。そこで本年度は、Siw14のCaf、Rap応答がTOR経路を介しているかについて研究を行った。まず、Δsiw14破壊株がRap感受性であることを明らかにした。この感受性はGLN3の破壊によって抑圧された。また、野生型株では、Rap添加で核に移行するGln3が、Δsiw14破壊株では、Rapの有無にかかわらず核に局在した。Gln3のリン酸化のレベルは、Δsiw14破壊株では、Rap未処理時においても野生型株に比べて減少し、Rap添加時にはさらに減少した。以上の結果から、Siw14はRap応答時にGln3の活性や細胞内局在を制御する事が示唆された。次に、Caf応答時のSiw14によるGln3の活性や細胞内局在の制御はTOR経路を介しているかを調べた。Δsiw14Δtor1二重破壊株のRapおよびCafの感受性度は、それぞれの単独破壊株よりも高かった。また、Δtor1破壊株におけるGln3の細胞内局在とリン酸化レベルは、野生型株と同じであった。出芽酵母において、SLT2-MAPK系に関わる遺伝子SLT2の欠損株はCafに対して感受性を示し、この感受性はソルビトールによって抑圧される。そこで、Δsiw14破壊株のカフェイン感受性がソルビトールによって回復するかを調べたところ、Δtor1破壊株では全く回復しなかったのに対し、Δsiw14破壊株の感受性は部分的に回復した。これに対し、Δsiw14Δgln3二重破壊株のCaf感受性は、ソルビトールの添加で野生型株のレベルにまで回復した。以上の結果より、Siw14はRap、Caf応答において、TOR経路とは独立にGln3の細胞内局在や活性を制御することが明らかとなった。
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