2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19380193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (70116086)
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Keywords | プロテインホスファターゼ / 酵母 / リン酸化・脱リン酸化 / プロテインキナーゼ / 核局在 |
Research Abstract |
タンパク質脱リン酸化酵素(PPase)は、多様な細胞生理を制御する重要な酵素である。PPaseによる細胞機能制御の全体像を明らかにするために、真核リファレンス生物である出芽酵母を研究材料として全単一PPase破壊株(計32株)、全ての組合わせの二重破壊株(435株)を作成し、網羅的な表現型解析を行ってきた。その中で△siw14破壊株がカフェイン(Caf)感受性を示すことを初めて見出した。本研究はSiw14のCaf応答における機能を明らかにすることを目的とする。SLT2-MAPKシステムに関わる遺伝子SLT2の欠損株のCaf感受性は培地にソルビトールを添加することによって抑圧される。そこで△siw14破壊株のCaf感受性が培地にソルビトールを添加することで抑圧されるかを調べたところ、部分的に抑圧された。一方、△torl破壊株もCaf感受性を示すがこの株はソルビトールを添加しても抑圧されなかった。Siw14とTorlはともに転写因子Gln3の転写活性化能を制御しており、Caf添加時において各破壊株のGln3標的遺伝子群の発現量は野生型と比較して増加する。そこで△siw14破壊株のCaf感受性がソルビトール添加によって抑圧されるのはGln3標的遺伝子群の発現量が抑圧されるためであると予想し、Caf培地にソルビトールを添加した時におけるGln3の転写活性化能を調べた。その結果、野生型、各破壊株の全てにおいてCaf添加時に増加したGln3標的遺伝子群の発現量はソルビトールを添加することで減少した。△siw14破壊株のCaf感受性はGLN3の破壊によっても部分的に抑圧される。そこで、Caf培地にソルビトールを添加した条件下における△siw14△gln3二重破壊株のCaf感受性度を調べたところ、野生型株のレベルまで抑圧された。これらの結果より、△siw14破壊株におけるCaf感受性の原因にはGln3の転写活性化誘導とともにMAPKシステムの欠損も関与していることが示唆きれた.
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