2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390127
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
荒川 宜親 National Institute of Infectious Diseases, 細菌第二部, 部長 (10212622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 恵吾 国立感染症研究所, 細菌第二部, 室長 (50283437)
森 茂太郎 国立感染症研究所, 細菌第二部, 研究員 (60425676)
山根 一和 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (00356247)
鈴木 里和 国立感染症研究所, 細菌第二部, 主任研究官 (30373400)
柴田 尚宏 国立感染症研究所, 細菌第二部, 主任研究官 (50311402)
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Keywords | クラス3インテグロン / Serratia marcescens / Klebsiella pneumoniae / IntI3 / IMP-1 / AAC(6')-Ib / VRE / vanA |
Research Abstract |
臨床的に重要な抗菌薬であるカルバペネム系抗菌薬に耐性を与えるメタロ-β-ラクタマーゼやアミカシンなどのアミノグリコシドのアセチル化による不活化に関与する複数の薬剤不活化酵素の遺伝子が集積した耐性遺伝子のクラスターを担うクラス3型インテグロンは、未だ我が国や欧州の一部でのみ発見されているのみの、新しい遺伝子の集積と再配列に関与するシステムであるが、不明な点が多く残されている。そこで、クラス3インテグロンについて、それらを保有する複数の耐性菌株から、主に、伝達性プラスミド上に存在するクラス3型インテグロンの領域を選び、その構造を比較解析した。 その結果、クラス3インテグロンは、25bpの反復配列(IR)に鋏まれたDNA断片を転位単位として、TniA、TniB、TniC、TniQなど、Tn5090やTn402で確認されているDNA断片の挿入や転位に関わる酵素の遺伝子とともに、染色体上やプラスミド間を転位していることが明らかとなった。 また、クラス3インテグロンでは、クラス1インテグロンで見られるsull-qacEΔ1-orf513のような、5'-端保存セグメントがなく、かわりに144bpの共通配列が存在するものが多く見られた。この事は、クラス3インテグロンは、グラム陰性桿菌に広く分布しているクラス1インテグロンと遺伝的に独立した進化経路を辿って構築された遺伝子の集積と再配列に関与する新しいシステムであることが示唆された。 さらに、バンコマイシン耐性腸球菌などの多剤耐性菌においては、耐性遺伝子を担う伝達性plasmidなどの多型性を解析することにより、院内感染勃発時の菌株相互の分子疫学的関連性などの分析に応用することができるため、そのような多型性が発生する分子機構やその法則性について検討を進めている。 今後、クラス3インテグロンの中に存在するインテグラーゼ(IntI3)など、遺伝子の集積や再配列に関与する酵素の精製やX線回折による構造解析などを進める計画である。
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