2008 Fiscal Year Annual Research Report
原爆被爆者コホートにおけるヒト造血リンパ系の遺伝的不安定性と放射線感受性の評価
Project/Area Number |
19390170
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
楠 洋一郎 Radiation Effects Research Foundation, 放射線生物学/分子疫学部, 部長代理 (60333548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱崎 幹也 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 主任技師 (80443597)
今井 一枝 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 研究員 (80260230)
吉田 健吾 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 研究員 (70443596)
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Keywords | ゲノム / 放射線 / 突然変異 / 血液細胞 |
Research Abstract |
本研究では、血液細胞を用いて、個体の放射線感受性および遺伝的不安定性を反映する細胞遺伝子損傷を正確に検出できる簡便な方法を開発する。また、放射線感受性の個人差に関係する可能性が考えられるDNA修復遺伝子多型の解析を行う。さらに、原爆被爆者コホートでの放射線感受性および放射線誘発遺伝的不安定性の評価を行い、放射線発がんとの関係を検討する。本年度は以下の成果が得られた。 1.個人の放射線誘発遺伝子傷害の感受性がGPA突然変異頻度の線量効果の個人差に反映しているのか検討する目的で、GPA突然変異頻度を既に測定している原爆被爆者22名について、培養したTリンパ球を用いたγH2AX測定系にて個人の試験管内放射線感受性を評価した。γH2AXレベルにより、放射線感受性が高いグループと低いグループにほぼ二分される傾向が見られたが、両群間で赤血球GPA突然変異頻度に有意な違いは認められなかった。 2.放射線で誘発される遺伝的不安定性がGPA突然変異頻度の線量依存的増加に関係しているか検討するために、GPA突然変異頻度を既に測定している原爆被爆者151名(1Gy以上の高線量被爆者68名および性、年齢を一致させたコントロール83名)について網状赤血球小核頻度を測定した。その結果、両群間で小核頻度に統計学的な有意差は認められず、放射線誘発遺伝的不安定性を示唆する証拠は見られなかった。また、GPA突然変異頻度と小核頻度の間にも有意な相関は認められず、原爆被爆者の被ばく線量に依存したGPA突然変異頻度の増加に遺伝的不安定性が寄与している証拠はえられなかった。 3.遺伝子障害感受性の個人差の背景にある遺伝子多型を検討する目的で、1,825名の調査対象者のATM遺伝子多型を解析し、GPA突然変異頻度の放射線量効果関係を調べたが、ハプロタイプ間に線量効果の有意差は認められなかった。
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Research Products
(10 results)