2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19390279
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
根東 義明 日本大学, 医学部, 教授 (00221250)
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Keywords | ARPKD / PCKラット / 徴小単離尿細管灌流 / 経上皮電位 / 抗利尿ホルモン / ヘンレループ / 慢性腎不全 / 腎尿細管 |
Research Abstract |
小児末期腎不全の重要原因である「嚢胞性腎疾患の病態解明と新治療法開発」を研究の大目標として掲げる中で、平成21年度は長時間微小単離尿細管灌流実験系での研究を試みた。 今年度、嚢胞腎モデル動物であるPCKラットを入手し、幼若の4から5週齢で倒立顕微鏡下に、嚢胞腎におけるNa再吸収や尿濃縮機構異常との関係が示唆されるヘンレの太い上行脚を微小単離し、経上皮電位とその液性因子への感受性を検討した。 まず、管腔内流速の速い定常状態において、wildおよびPCKラットのいずれもが管腔内正の経上皮電位を示し、有意差はなかった。次に、嚢胞性腎疾患において、近年抗利尿ホルモンAVPの阻害薬による利尿促進により嚢胞形成が改善されるとの報告にかんがみて、本研究の焦点であるヘンレの太い上行脚TALにおけるAVPの経上皮電位への作用について、wildとPCKラットのTALにおける検討を行った。生理的濃度上限のAVPは、血液側から投与された場合、wildとPCKいずれのラットにおいても経上皮電位を数mV促進した。これらの変化は群間で差を認めず、PCKラットが特にAVPに対する感受性が高いわけではないことが強く示唆された。 次に、その他の液性因子によるTALの機能促進が両群間で有意差をもつかどうかについても検討を加えた。インスリンとイソプロテレノールはいずれもTALにおけるNa再吸収を促進し、経上皮電位を上昇させることが知られているが、それぞれをwildとPCKラットに投与したところ、どちらの群でも、同程度の経上皮電位の促進が観察され、やはりAVPと同様に、ヘンレループにおけるNa再吸収が特にPCKラットにおいて促進されて、嚢胞形成の誘因となっていないことが強く示唆された。 以上、今回の研究からは残念ながら嚢胞腎形成の病態を十分に明確化するには至らなかったが、ヘンレループ以外での水イオン輸送系のより詳細な解析が重要であることが明確となってきた。
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Research Products
(1 results)