2009 Fiscal Year Annual Research Report
高磁場MRIによる含鉄タンパク質フェリチンの定量化と分子イメージングへの適用研究
Project/Area Number |
19390327
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
三森 文行 National Institute for Environmental Studies, 化学環境研究領域, 室長 (90125229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 英宏 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (60370269)
梅津 豊司 独立行政法人国立環境研究所, 化学環境研究領域, 主任研究員 (00223610)
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Keywords | 高磁場MRI / 生体分子 / フェリチン / 磁性 / 分子イメージング |
Research Abstract |
昨年までに確立されたヒトin vivo脳における非ヘム鉄濃度の無侵襲定量法の基盤は、脳組織水の見かけの横緩和速度R2†が局所の非ヘム鉄濃度[Fe]と、高分子量成分の存在比(fM=1-水の存在比)の線形結合α[Fe]+βfM+γで表される(α,β,γは定数)という概念である。今年度は、この概念の普遍性を確認するために観測磁場強度を変えてヒト脳の横緩和時間の測定を行った。我々の開発したmase法をそのまま適用するために、これまで測定を行ってきた4.7T MRI装置の超伝導磁石の永久電流を約40%に下げ、1.9Tでの測定を試みた。男性7名(45.4±17歳)、女性3名(41.7±12歳)の計10名の測定結果の重相関解析からR2†=0.178[Fe]+23.4fM+6.62が得られ、重相関係数r=0.99で4.7Tと同様に[Fe]とfMを用いてR2†が良く説明されることがわかった。また、4.7Tでの結果と比較するとβ,γがさほど変化しないのに対し、αは観測磁場に比例して減少しており、この項が超常磁性を示すフェリチン鉄コアの緩和効果によるものであることを示している。重相関係数が0.99と4.7Tに劣らず高い点は、R2†への寄与として[Fe]のみを考慮した場合と好対照をなし、低磁場臨床機の可能性拡大を示唆する。さらに、上記のin vivoでの解析結果をモデル系でも確認するために、ウマ脾臓より精製されたフェリチン(鉄ローディングファクター~1000)の水溶液とアガロースゲル試料を用いてT2測定を実施した。この結果、観測したR2と[Fe]は比例し、R2はin vivoの場合と同様フェリチン鉄濃度とアガロース濃度の線形結合でよく説明できることがわかった。
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