2007 Fiscal Year Annual Research Report
重症心不全の補助人工心臓治療に関する臨床的緊急課題の早期解決のための総合研究
Project/Area Number |
19390343
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
西中 知博 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (00256570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 聡 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60246551)
山嵜 健二 東京女子医科大学, 医学院, 准教授 (30241087)
妙中 義之 東京女子医科大学, 国立循環器病センター研究所, 部長 (00142183)
巽 英介 東京女子医科大学, 国立循環器病センター研究所, 室長 (00216996)
水野 敏秀 東京女子医科大学, 国立循環器病センター研究所, 室長 (40426515)
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Keywords | 心不全 / 補助循環 / 人工心臓 / 血栓症 / 心臓 |
Research Abstract |
重症心不全の補助人工心臓治療に関する臨床的緊急課題の早期解決に向けて以下のような項目について研究を行った。抗凝血療法のプロトコールに関する研究においては計7例の補助循環施行例においてThrombelastography法および血小板マッピング法を用いて抗凝血療法のモニターとその検討を行なった。基本プロトコールはワーファリンにてINR2.5-3.5でコントロールし、抗血小板剤はアスピリン100mgで開始し、血小板マッピング法を用いてCOX依存血小板凝集の抑制程度の測定を行い、75%以上となるように300mgまでアスピリンを増量するものとした。7例中2例においては100mgで目標の75%以上の抑制が可能であったが他の5例では200-300mgの投与となった。2例においては血栓塞栓症を認めたが他の症例では血栓塞栓症フリーであった。現在ワーファリンの使用状況をモニターするためにはINR法が取られている。補助人工心臓埋め込み患者の在宅管理のためにはINRの在宅における管理体制の確立が重要であると考えられるが従来法では頻回の外来通院が必須である。5例の補助循環施行症例において在宅使用型INR測定法コアグチェック法および従来法による測定を同時に行なった。その結果、コアグチェック法は従来法と強い相関関係があり、臨床使用上有効である可能性が認められた。さらには、従来法において測定比を算出するための標準血漿の標準化がなされていないことによる施設間格差の問題の解決の一助になりえる可能性が示唆された。人工心臓用カニューレ開発の指針に関する研究に関しては、流体工学的な視点から、先端部の口径は管内の流速を決定し心室内挿入管長は先端部と心室内壁の相対的位置関係や心室底部の流動状態に多大な影響を与えると考えられることから、先端部の切断面形状に焦点を当て,切断面が管軸となす角度を変更した場合に脱血管内ならびに周囲の流動状態に関して数値計算モデルを用いて検討した。切断面の角度が大きい場合には脱血管入り口での流速分布に大きな偏りが発生し、管内でも流れが逆流する剥離領域の形成や,流速が遅く血栓の後発部位となる可能性がある領域が確認された。この傾向は角度を小さくするにつれ減少し,先端を管軸に対し垂直に切断したものでは流入する流れ自体は偏りが小さくなった。流入の際の抵抗は,切断面の角度をつけることにより脱血管への流入方向を曲げることができ,脱血の抵抗を下げることが可能であることも明らかとなった。
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