2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム病としての男性不妊症の研究-内在性レトロウイルスエレメントを中心として-
Project/Area Number |
19390412
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高 榮哲 Kanazawa University, 医学系, 准教授 (90283134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金谷 二郎 金沢大学, 附属病院, 助教 (80432128)
前田 雄司 金沢大学, 医学系, 助教 (20377394)
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Keywords | HERV / 内因性レトロウイルス / Y染色体 / AZF / 男性不妊症 / ゲノム病 / 染色体内相同再組換え / 霊長類ゲノム |
Research Abstract |
HERVに関与する塩基配列からY染色体にTTY (testis-specific yranscript unit) familyに注目した。Genbank検索にて、AZFb領域にあるERV関連TTYを検索した。TTY9, TTY10, TTY13の3種を検索でき、これらの転写物が精子形成に関与しているかを検討した。とくに、TTY13はHERV-K14Cが組み込まれ、精巣特異的に発現している事を明らかにし、有力な精子形成候補とした。Normal, hypospermatogenesis, maturation arrest, Sertoli cell only, tubular scleosisの組織像を呈する患者サンプルを用いて、TTY13のゲノムおよび転写物を検証した。すると、ゲノムDNAにおいて、PCRにおいてサイズの大きいバンド、2本のバンドおよびサイズの小さいバンドを認めた。これらの各バンドの塩基配列を確認すると、内因性レトロウィルス(ERV)の両端にあるLTR (long terminal repeat)の約170bpの相同部分で相同性再組み換えが生じていることを見いだした。この再組換えの生じた個体の転写物は発現していないことを確認した。さらに、この再組換えは組織型が悪くなるにつれて、増加することを明らかにした。このHERVはのHERV-Kに分類され、エクソン化に関与し、ヒトがサルであったときに感染したものであることも証明した。本研究はY染色体長腕上にある精子形成領域AZFbにおいて、マイクロ染色体内相同再組換え(intra-homologous recombination)が生じ、男性不妊症の原因になっていることを証明し、それが人類の進化の過程でレトロウィルスに感染した結果であることを証明した。この研究は男性不妊症の新たな機序にひとつを証明し、診断に有用である。
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Research Products
(4 results)