2008 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的エピゲノム解析技術システムを用いた卵巣癌化機構の解明について
Project/Area Number |
19390423
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
有馬 隆博 Tohoku University, 未来医工学治療開発センター, 准教授 (80253532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八重樫 伸生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00241597)
千坂 泰 東北大学, 病院, 講師 (40323026)
高林 俊文 東北大学, 大学院・医学系研究科, 名誉教授 (30124598)
阿部 圭子 東北大学, 未来医工学治療開発センター, 技術補佐員 (30444003)
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Keywords | 卵巣癌 / エピジェネティックス / DNAメチル化 / ChIP-on-Chip / インプリンティング遺伝子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、卵巣癌の癌化機構において、エピジェネティックな修飾を受ける遺伝子の構造上あるいは機能的な特徴を見いだし、この修飾に共通して影響を受ける転写因子やそのネットワークを多方面から評価することである。昨年度抗メチル化シトシン抗体を用い、ChIP-on-Chipとwhole genome tiling arrayを組み合わせ網羅的なDNAメチル化の変異の解析を行った。本年度は、そのうち既知のインプリント制御領域(アレル特異的メチル化領域)に着目し、7つのインプリント制御領域についてDNAメチル化とインプリント遺伝子の発現パターンについて解析した。 【具体的内容】1)卵巣癌患者の登録 ; 今年度は、症例74例がすでに登録されており、症例予定登録50例にすでに達している。今後も症例の追加、患者背景、組織型など細分類を行う。2)インプリント制御領域のメチル化の解析 ; メチル化異常(正常の±2SD以上)は全体のおよそ62%に確認された(H19 : 16例、GTL2 : 22、PEGI : 5、LITI : 15、ZAC : 5、PEG3 : 7、SNRPN : 15)3)インプリント異常の解析(遺伝子発現) ; (H19 : 15%、IGF2 : 42、GTL2 : 4、PEGI : 39、LITI : 33、PEG3 : 6、SNRPN : 0)でメチル化異常の頻度に較べ低いことが判明した 【意義】本来エピジェネティックな修飾は発生プログラムに従って確立され細胞の記憶として働くが、その破綻が細胞癌化に繋がると考えられ注目されている。よってエピジェネティックスの解明は、今後の医療に新しい展開をもたらし得る大いなる可能性を秘めている。本研究成果は、卵巣癌の病態解明に貢献する。 【重要性】未だ早期診断法がなく、予後不良な卵巣癌の分子機構の解明は、疾患の予防、新しい診断マーカーや創薬治療開発に新たな癌治療戦略を拓くことが可能である。
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Research Products
(12 results)