2008 Fiscal Year Annual Research Report
上皮間葉転換誘導因子を標的とする卵巣癌の抗癌剤感受性増強と転移抑制治療法の開発
Project/Area Number |
19390427
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉川 史隆 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (40224985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那波 明宏 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90242859)
柴田 清住 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90335026)
梶山 広明 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00345886)
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Keywords | 上皮間葉転換(EMT) / 上皮性卵巣癌 / 腹膜播種 / TWIST / RNA-干渉 / 形態変化 / 抗癌剤耐性 / paclitaxel |
Research Abstract |
本年は抗癌剤耐性とEMTの関連性を明確にし、EMT阻害による卵巣癌の薬剤耐性からのリカバーを目指した。さらに、臨床でも摘除困難な再発腫瘍に放射線照射を行うと多少の縮小を認めるものの、まもなく二次性転移を起こすことがある。従って放射線照射に伴うEMTの生じる機序に関しても研究を行った。 本年の研究成果は以下の3点である。1)種々の卵巣癌細胞株からcontinuous exposure法にてchronic paclitaxel耐性株(CP細胞株)を樹立し、それら耐性株におけるEMT誘導性およびマウス腹腔内播種形成の亢進が認められたこと、2)CP耐性株で発現が亢進していたEMT誘導転写因子をin vitro-,及びin vivo-siRNAでノックダウンすることによって腹膜中皮細胞や細胞外マトリックスとの接着親和性の減少、およびマウスでの遠隔転移性の低下、さらにはpaclitaxel耐性の解除などが観察されたこと、3)上皮細胞形態をとるHEC1A細胞に対する2.0〜8.0GyのX線照射を行うと、アポトーシスを免れた細胞集団においてEMTが生じることを示した。また、この時にTWISTの発現亢進が観察され、この発現をsiRNAで抑制することによって、EMT誘導性の"metastatic potential"が減弱することを明らかにした。転移抑制と薬剤耐性の克服は卵巣癌の予後改善に関して最も重要な課題であり,多くの研究者によって探求されている分野でもある。しかし、EMT誘導因子を腫瘍側のターゲットとする研究はこれまでも散見されるものの,EMT/chemo-, radio-resistanceという流れを双方向から検討したものはほとんど皆無である。特に本年はEMT誘導転写因子の観点から、卵巣癌における二次性転移の生じる機序と耐性克服を目指した新たな分子標的治療の可能性を示唆することができた。
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Research Products
(5 results)