2009 Fiscal Year Annual Research Report
上皮間葉転換誘導因子を標的とする卵巣癌の抗癌剤感受性増強と転移抑制治療法の開発
Project/Area Number |
19390427
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉川 史隆 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (40224985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那波 明宏 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90242859)
柴田 清住 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90335026)
梶山 広明 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00345886)
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Keywords | 卵巣癌 / 上皮間葉転換 / 再発・再燃 / 耐性化 / 抗がん剤 / TGF-β / 転移 / paclitaxel |
Research Abstract |
本年度は年度初頭の研究計画に掲げた「再発再燃卵巣癌において局所転移能亢進とEMTの関与」に対して重点的に検討を行った。研究成果を簡潔に示す。 TGF-βをメインとした液性因子がEMTのトリガーとなることは既に明らかとなっているが、本年度は再発再燃卵巣癌においてEMTが生じる一因についても検討した。すなわち、かつてpaclitaxelへの"chronic exposure"によってEMTが誘導された耐性株群を樹立したが、それらを用いてin vitro再発卵巣癌モデルとした。結果としては耐性卵巣癌細胞では野生株に比較してexogeneousなTGF-β産生能は増強しており、そのレセプターやシグナル伝達系のSMAD3の発現が亢進していた。さらに、二次的にmatrix metalloproteinases(MMPs)の発現も亢進していたことから、転移に有利な細胞環境となっていることを示唆する結果を得た。従って、耐性化によってEMTを促進因子であるTGF-βの発現増強を伴った"stress-resistance"が誘導される構図が考えられた。また、それら耐性株群をヌードマウスに皮下あるいは腹腔内移植することによってin vivo抗癌剤耐性再発腫瘍モデルを作成した。切除腫瘍組織のタンパク解析から、in vitroで得られた結果とほぼ同様な結果が得られた。さらに、既に作成したadriamycin, vincristine, carboplatin,及びcisplatinの薬剤耐性株におけるEMT関連分子発現を検討した。結果的にこれらの耐性細胞群においてもEMT関連分子やMMPs等の転移関連分子の発現は亢進していた。すなわち、paclitaxelにかかわらず薬剤に対する"chronic exposure"によって"silent resistance"が生じている再発再燃卵巣癌の場合には程度の差こそあれ普遍的なEMT化が起こっている可能性が示唆された。
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