2007 Fiscal Year Annual Research Report
Toll様受容体とC-タイプレクチン受容体のクロストーク
Project/Area Number |
19390477
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柴田 健一郎 Hokkaido University, 大学院・歯学研究科, 教授 (50145265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 晃 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (90281815)
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Keywords | FSL-1 / TLR2 / DC-SIGN / XS106細胞 / Man_9(GLcNAc)_2 |
Research Abstract |
Mycoplasma salivarium由来リポタンパク質のN末端領域をもとに合成されたジアシルリポペプチドFSL-1はToll-like receptor2(TLR2)の特異的なリガンドである。樹状細胞(DC)に発現するC-typeレクチンであるDC-SIGNは、DCとT細胞や内皮細胞との結合を媒介する接着レセプターとして、また、病原体や自己抗原の糖構造を認識するパターン認識レセプターとして自然免疫ならびに獲得免疫において様々な役割を果たしている。 本研究では、TLR2によるリガンド認識を及ぼすDC-SIGNの役割について検討した。 HEK293細胞にTLR2およびDC-SIGNを遺伝子導入し、免疫沈降法でTLR2とDC-SIGNの会合を調べた。A/J mouse由来の樹状細胞であるXS106細胞(Toledo大学Dr. Takashimaより分与)を用い、フローサイトメトリーおよびリアルタイムPCR法でTLR2およびDC-SIGNのマウスホモログであるSIGNRの発現を調べた。サイトカイン(TNF-α, IFN-γ, IL-6, IL-10)の産生はリアルタイムPCR法で、また、NF-κB活性はルシフェラーゼ・レポーター法で評価した。TLR2とDC-SIGN下流のシグナルによるタンパク質のリン酸化は二次元電気泳動で展開した後、ウエスタンブロッティングで評価した。 TLR2はDC-SIGNのオリゴマーと複合体を形成していた。XS106細胞にはTLR2およびSIGNRが発現しており、FSL-1の刺激で炎症性サイトカインの産生が増強された。しかしながら、FSL-1のサイトカイン増強活性はSIGNRのリガンドであるMan_9(GlcNAc)_2(Man9)刺激によって有意に減弱した。また、FSL-1刺激によりNF-κBの転写活性がFSL-1の濃度依存的に増強したが、Man9の刺激によってその増強活性は有意に阻害された。XS106細胞のFSL-1あるいはMan9の単独刺激で一部のタンパク質のリン酸化に違いがみられ、さらに、同時刺激で分子量20kDaのタンパク質(P20)が消失し、また、FSL-1刺激でリジン残基のアセチル化みられたP25のシグナルがMan9との同時刺激で減弱した。 以上の結果から、TLR2のシグナルとDC-SIGNのシグナルがクロストークし、TLR2シグナルによる炎症性サイトカイン産生が減弱したものと推測している。
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