2009 Fiscal Year Annual Research Report
加熱による象牙質の緻密化原理に基づく失活歯強化法の開発
Project/Area Number |
19390482
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 美加子 Osaka University, 歯学部附属病院, 講師 (40271027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩見 行晃 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (90303982)
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Keywords | 象牙質 / 機械的強度 / コラーゲン / 顕微赤外分光分析 / 分子間架橋 / 高速液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
昨年度までに、象牙質を110-140℃に加熱すると、異方性を示しながら機械的強度が有意に増加し、加熱は象牙質の強化に有効であることを明らかにした。その強化メカニズムは、コラーゲンの分子間距離が13.6Aから約10.7Aに約30%収縮するためであることがエックス線回折より分かった。 今年度に実施した顕微赤外分光分析より、110-140℃の加熱によって脱水が観察されるものの分光スペクトルの形状に変化は認められず、冷却すると加熱前の状態に戻ることが分かった。すなわち、110-140℃加熱ではハイドロキシアパタイトに被包された象牙質コラーゲンの基軸構造は変化しないことが分かった。 さらに、高速液体クロマトグラフィーにてコラーゲン分子間架橋のうち還元性架橋、非還元性架橋、および老化架橋における加熱前後での変化を検索したところ、いずれの架橋にも象牙質の機械的強度に影響を及ぼすような明らかな変化は認められなかった。 これらの事象を検証するために、加熱した象牙質を水中に再浸潰して機械的強度を測定したところ、加熱前の状態に戻ることが分かった。また、エックス線回折によるコラーゲン分子間距離の検索でも、一度収縮した分子間距離が水中への再浸漬で加熱前に戻った。 以上の結果より、110-140℃の加熱による象牙質の強化メカニズムは、コラーゲンネットワークの緻密化によって象牙質が構造体として強化されるためであることが明らかとなった。また、110-140℃の加熱では、ハイドロキシアパタイトに被包されている象牙質のコラーゲンは変性せず、水中への再浸潰で加熱前の状態に戻る可逆的な変化であることも明らかとなった。
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[Journal Article]2009
Author(s)
林美加子
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Journal Title
エンド難症例 メカニズムと臨床対応-支台築造と歯根破折-(恵比須繁之編)(医歯薬出版)
Pages: 153-161
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