2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペルー山間地域の「その後」-農民社会の動態に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
19401044
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
加藤 隆浩 Nanzan University, 外国語学部, 教授 (50185849)
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Keywords | ペルー / 農民社会 / 動態 / 文化人類学 / 再訪 |
Research Abstract |
今年度の調査には2つの発見があった。1つは、1920年代にペルー各地の農村社会がどのような状況にあるかを探るために実施された調査アンケート(La Asociacion Pro Indigenista)の回答の原簿である。これは、一部は刊行されたものの、残りはその存在すら知られていなかったので学術的に貴重な発見といえる。本研究のテーマは、1960年代以降の農村の変化であるが、それ以前の状況が再構成できれば、その動態のあり方をよりいっそう詳細に分析できることになり、また、ペルー近現代史の分野にとっても大きな意味をもつものである。もう1つの発見は、クスコ市における民衆聖人像がこの60年間に信者から奉納された衣装すべてである。この衣装の発見は、その色、文様、大きさ等を分析することで、民衆カトリックのあり様を逐一遡ることができるものであり、それは、クスコに限らず、ペルーの他の地域でのカトリックの状況を考えるための仮説を検討するために大きな意味を持つ。以上とは別に、真鍋は、プーノ県を中心に、そこで獣毛が担った社会経済的な意味を、インカ時代から今日までのおよそ500年間を文書の分析を介して丹念に調べ上げた。また、高橋は、20世紀初頭のインディヘニスモ劇の源流か、17世紀の宗教神秘劇と関連があることを突き止め、その時代のテクスト分析をおこなった。加藤は、J,ソラーノ、M.ソラーノの協力によりマンタロ谷における道路の敷設が地場産業の一時的興隆とその衰退の両方を引き起こすという現象を調査した。友枝は、都市に流入してきた山間部の農民と政治暴力との関係を分析した。藤井は、昨年に引き続き、コトシュ遺跡と観光事業、遺跡の保全について調査をすすめた。
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