2009 Fiscal Year Annual Research Report
移動の日中比較を通じた東アジアの地域社会と市民社会の対抗的相補性に関する研究
Project/Area Number |
19402008
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
首藤 明和 Hyogo University of Teacher Education, 学校教育研究科, 准教授 (60346294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 捷 愛媛大学, 国際交流センター, 准教授 (00380212)
大橋 健一 立教大学, 観光学部, 教授 (70269281)
福田 恵 東京農工大学, 共生科学技術研究科, 講師 (50454468)
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Keywords | 移動 / グローバリゼーション / 中国 / 日本 / 地域社会 / 市民社会 / 家族 / 文化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「定住者/移動者」の視点をクロスさせつつ、「市民社会」「地域社会」「個人」の三者を媒介するメカニズムを、近代化、グローバリゼーション、及び、アジアの歴史や文化のなかに位置づけて考察することであった。具体的には、(1)「移動」の形態と論理や「移動者」の心性から「地域社会」の多様性/同質性と開放性/閉鎖性を明らかにすること、(2)「市民社会」と「地域社会」の対抗的相補的関係について明らかにすること、(3)「市民社会」の生成などモダユティ現地化にみる差異を、相互承認と連帯の多様なモデルとして抽出し、今後の東アジア社会の発展のあり方を展望することなどであった。現地調査は、中国では雲南省保山市、福建省福州市、遼寧省撫順市等、ラオス人民共和国ウドムサイ県の華人居住地、日本国内では広島県府中市、島根県安来市、兵庫県美方郡香美町、同県篠山市などで実施した。研究の成果として、第一に、「移動」の歴史や文化に関する日中の比較分析を通じて、異質性を相互承認するなかでの共生や、予期せぬものごとへの対処に関する生活の知恵を、人びとの社会関係から浮き彫りにすることができた。家族、親族、村落、民族など社会制度を、相互承認と連帯のシステムとして捉え直すことで、市場や権力に対処する生活者の足場を、構造と実践の側面から明らかにできた。第二に、グローバル化の進展とともに増大するヒト・モノ・コトの「移動」は、ともすれば、既存の社会秩序に対する挑戦や危機と捉えられがちだが、本研究からは「移動」にともなう異質性の高まりが、むしろ創造性や伝統の再生性をもたらすことを、前近代から現代に至る歴史的文脈の中で明らかにできた。研究成果は、2009年5月香港大学での国際ワークショップで報告し、国内外の研究者とともに議論を行った。また、国内では、2009年12月東京農工大学での研究会で報告、議論を行った。
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Research Products
(9 results)